人はなぜ旅をするのか?

日本で暮らしていると、知らず知らず、
周りと同じことをするよう身体がセットされる。
それに不平を漏らすことはあるけれど、
ほんとうの意味で強制されているわけではない、
むしろ自ら進んで、そのようにふるまっている。

なぜなら、
その方が過ごしやすいからだ。 お得だからだ。
測られやすいよう、同じモノサシを持つ。
その方が比べやすいし、比べてもらいやすいからだ。
日本で暮らす人たちは、他人との誤差に
こんなにも一喜一憂する。
格差に対して異常なまでの執着は、
これが理由でもある。


▲ 徹甲騎士(エリミタージュ美術館、サンクトペテルブルグ

そんな国で暮らしていれば、
ぼくだってそのようにふるまう。
白線からはみ出ないよう、注意して過ごす。
それを心がけていれば、
この国はとてもらくちんに過ごせる。
街は清潔で、人は礼儀正しく、料理は美味しい。
平均収入からすれば、物価も高くない。


▲ モスクワ駅側の簡易食堂でとるランチ(400円くらい)

インターネットの普及は、
ある意味、人から冒険心を奪った。
行かずとも行った気になり、
知らずとも知った気になる。
人は未知に惹かれる好奇心が強いが、
ネットの利便性は、これを麻痺させる。


▲ 24時間営業のカフェ(サンクトペテルブルグ)、無線LANも無料で使える

日本で暮らす快適さとネットの利便性。
でもそれは、かりそめの姿である。
わかるひとにはわかるけど、ほんとうはとても息苦しい。
そこで、ぼくは呼吸を止め、じっと耐える。
そして、息継ぎのための旅に出るのだ。


▲ 宿泊したB&Bの窓(モスクワ)

飼いならされるのは、ある意味ラクだ。
パターンだけで過ごせるのならそれに超したことはない。
でも、使わなくなった脳や筋肉は使わないまま、腐る。
『ゆでがえる』の世界。


▲ アーティストのたまり場(モスクワ、アルバート通り)

それに抵抗しようと、身体の奥底からわき起こるものがある。

ドメスティック(飼いならされた〜)・・・
何十年経っても、いやな言葉である。

やっぱり
チャレンジしなくなったら、おしまいだと思う。
指先だけの情報だけで満足するには、
世界はあまりに広いし、
自分はあまりに小さい。


▲ 発着情報ボード(モスクワ、レニングラード駅)

旅は、だからこそ必要だと思う。
飼いならされないように、
奢らないように、
ときどき自分をストレッチさせるために。


▲ 博物館内ではない、地下鉄構内だ(モスクワ)

この夏、あなたも旅に出ませんか。

大道芸人と猿とオウム(エルミタージュ美術館そば、サンクトペテルブルグ


▲ 必要なものだけを詰めて出かけよう

とどまる水は腐り、空気はよどむ

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8 件のコメント

  • なおきんさん、こんばんは。
    写真の色の美しさに見惚れてしまいました。ロシアって何だか暗いイメージがあったのですが。この写真で一掃されそうです。
    ドイツから近そうで遠いロシア。いつか行けたらいいなぁ。
    ロシアの旅行記楽しく拝見させてもらいました。
    お昼ご飯、約400円って安いですよね!! 美味しそうだし・・・。

  • ご返信ありがとうございます。
    今日の写真の中で、掲示板の赤い文字と女性のシャツとバッグの赤い色がとても美しく、なおきんさんのセンスの良さに脱帽いたしました。

  • 音声コメント拝聴いたしました。コメント返しが「生声」だなんて、初めてでしたのでドキドキ。
    なんだか、中学生時代に聴いていた夜中のラジオDJを思い出しました。

    ロシアかなり行ってみたい所だったのですが…ジャガイモ主体と聞いて、萎えてしまいました。芋類苦手なもので^^;でも、日本で食べる芋とは違ったりするのでしょうか。

  • 海外が気持ちいいのは、旅だからかな、とか思ってました。
    すでに自分の持っているステータスとか「この程度でいなくては」みたいなしがらみがないから か。あとは、生まれて教育を受けた国ではないし、そもそも言葉と異国人というハンデがある分鎧がなくて身軽なのかな、と。

    そうではなくて、日本は窮屈だと、長く住むと感じますか?国によるのでしょうが・・・

  • いい旅をされてきたみたいですね〜
    私は本当に旅に行ってません、旅行じゃやなくて、「旅」に、
    昔はしっかり自分を見つめる旅が出来てたんですが、ん〜最近は、
    小さい自分がますます小さくなっていかないとように旅に出たいですね〜

  • はじめまして。いつもブログ楽しく読んでます。今回の旅についてのエントリー。すごく納得しました。ただいまミラノ在ですが、海外にいても「旅」することの必要性ってとても感じます。いまながーいバカンス中なのでこの間、東欧を回ってきました。各都市2泊ずつのひとり旅でしたが、毎日日記を書いて本当に充実した時間でした。旅にいく元気やパワーはいつまでも持っていたいです。

  • こんにちは、なおきんです。
    コメント返しをポッドキャストにアップさせてもらいました。記事下にリンクを張っておきましたのでどうぞ。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。