ロボドリル。
これが日本のファナック社の製造する「工作ロボット」だということを、知る人は知っている。だが、現行Apple製品のほとんどがこれによって作られていることを知る人は少ない。
iPhone4もiPadも、iMacもMacBookも、それぞれ一枚のアルミ板から出来ている。これをひとつひとつ削り出しという作業で作られるのだ。だから部品も少なく、継ぎ目がない。強固で美しいデザインが実現できているのはこのためだ。数年経ってもボディが劣化しないし、つるんとしたままなのもアルミ製であり削り出しによるモノボディであるからだ。それらを作っているのがこのロボドリルだ。
いわば職人による手作りである。
人間ではなくロボット職人ではあるのだけど。
だがこのロボット職人を産んだのは日本メーカーの日本人。一流の人を育てるのはやはり一流である必要があるが、そんなロボット職人が生まれ育つのも一流の職人技あってこそだ。
ふつう、パソコンやスマホの筐体は「射出成形」といわれるプレス機で製造される。コストも安いし量産がきく。一台のプレス機で1時間に4000個も製造できる。いっぽう工程が複雑な「切り出し式」は同じ時間で20個しか製造できない。200分の1である。「ならば」と、故ジョブズはロボドリルをファナックに12,000台も発注し、3年かけて中国の工場に納品させた。つまり職人の数で勝負したのだ。このあたりの思い切りはさすがだが、おかげで世界を変え、人のホルモンまで反応させる製品を世界中に流通させることができた。
もうすぐ発表のあるiPad次バージョンも生産こそ中国だが、職人は日本製のはずだ。iPhone4の部品でもっともコストをかけているのが日本製というのは、ジョブズの日本文化びいきだけが理由ではなさそうである。
世界の空港内に乱立する看板広告は日本メーカーのものが減り、韓国メーカーのものが増えた。だけど、その近代的な空港は日本の建築会社だったり日本の援助だったりもする。
TPP推進者などは、輸出額の増えた韓国を見て「隣国をみならえ」などというが、彼らの輸出依存度は46%もある。日本はたったの13%、輸出メリットの前提が違う。資源のこともあるから輸入メリットのほうが高い。円高は決して悪ではない。
ついでにいえば、韓国サムスンやLGの株主の半分は米国人である。つまりどれだけ儲かっても、従業員以外は韓国にメリットをもたらさない。いまや韓国は日本などとうに及ばないほど格差が広がり、失業率は実質9%を超えた。大学を出てもほとんど就職できない。仕事が無い上、ウオン安のせいで輸入物価が上がりスタグフレーション状態。庶民は大いに苦しんでいるのだ。東京都内のコンビニでは若い韓国人アルバイトが増えたが、これは留学生とは名ばかりの出稼ぎの人たちである。
見えないところで活躍してこそ日本なのかなあ
とiPhoneを眺めながら、そう思うのでした。
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