さえない日々の旅支度

そろそろ旅の準備でもしようかとアゼルバイジャンのビザを取り寄せる。が、これがなかなかスムースにいかない。申請は翌週でもいいだろうと思っていたが、あぶないところだった。

観光ビザなのに特定機関からの招待状が必要というし、なければ現地の旅行代理店で発行してもらったホテルバウチャーが必要だという。かつてのソ連や、ロシアとほぼ同じ条件である。「いったい何世紀の話しだよ」と、愚痴のひとつもこぼしたくなるが、これも含めて旅である。ぷらっと気ままに出かけられる距離でも、場所でもないのだ。

思えば「日本人」というだけで、国外旅行の手間がずいぶん省ける。日本人に観光ビザ取得を義務付けている国のほうが少ないし、ビザ発給どころか、自由に出国などとんでもないという人々も世界にはまだたくさんいる。バウチャーごときで何こぼしてんだと、自省した。

だが日程は短い。
そのわりには行きたい場所が多すぎる。Lonely Planetと地図を交互に見ながら、悩む。これじゃ旅程の3分の2は「移動」になりそうだ。空路も鉄道も満足にない。となればミニバスかタクシーということだが、コーカサス山脈は悪路が多く4躯が必須だ。おまけに紛争地帯があちこちにある。交戦国同志のアゼルバイジャンアルメニア間は移動ができず、グルジアとロシアは冷戦状態だ。つい4年前には住民の虐殺をともなう戦争もあった。しかも北京オリンピックの開会式と同時に。超えられない国境に阻まれ、コースはおのずと遠回り。

そのような4カ国を、いくらなんでもたった8日間で回るのは無謀だとチケットを発券してくれた担当者に呆れられた。ごもっともである。さすがにトルコの街は諦めることにした。


オセチア戦争(グルジアvs.ロシア)の時のようす【映画:5デイズ戦争】

準備をしすぎると旅に冷めてしまうので、ほどほどにし、とりあえず持っていくカメラを新調した。ソニー製。買ったばかりのニコンと、あまり使わない同じくニコンの一眼レフをリサイクルした資金で調達。とてもコンパクトなのにりっぱなCMOSがついている。

ノートパソコンをやめ、iPadだけを持って行くことにする。『するぷろ』というアプリを使えば、iPadでも「はてなダイアリー」で記事や写真をアップできることを知った。ありがたい。これで2kgは荷物が軽くなる。

荷物は5kg以内にまとめること。マイルールだ。
7年ぶりに達成できそうで、うれしい。

旅は身軽なのが一番である。
あるいは人生もそうなのかもしれないが。

6 件のコメント

  • いつもこの時期にご旅行ですね。
    一年に一度の一人旅、おおきな意味を感じます。
    いつもわたしの誕生日には日本にいらっしゃらないので
    寂しく思っています笑
    お誕生日プレゼントは元気にご帰国されること!
    お願いします。有意義な旅でありますように。

  • なおきんさん、いよいよなんですね。
    私の父も9月に同じ国々を旅すると聞いたのでなおきんさんの記事を今から楽しみにしています。
    どうぞお気をつけて、沢山いいことにめぐり合えますように!

  • なおきんさん、こんにちは。ありがとう〜(^^)

    旅にいかれるんですか。
    私が思う旅行とは大違いですね(^^)
    全くの余談ですが、最後の海外旅行は
    プーケットのダイビングでした。
    街中を歩いていると、突然水鉄砲を掛けられて
    おもわずムカッとしたけど、どうやらそういうお祭り
    だったらしく、ブスってしなくってよかったって思いました(^^)

    >旅は身軽なのが一番である。
    >あるいは人生もそうなのかもしれないが。

    本当にそうですね。なるべく足かせはなくして
    身軽に楽しんで生きたいと思っています♪

  • いつもながら、身軽にあらゆる地に出向き、ご自分の五感でその国を理解しようとするなおきんさんの旅が羨ましいです。私も男だったら・・・・

    先日、4年ぶりにドイツに行ってきました。こんなにも癒される国だったっけ!?と思いました。東京暮らしでいかに自分が荒んでいたか分かって、人生の色々な事を見直すきっかけになりました。おかげで帰国後は決断力が早まり、周りにも「なんか突き抜けた感じだね」と言われました。

    旅、大切です。

  • りんごちゃん、一番ゲットおめでとさまです!
    そういえば毎年「海の日」をはさむあたりにでかけるのが恒例になってるので、りんごちゃんの誕生日のときにはいつも旅の空、だね。今回の日程は「無謀すぎます!」と代理店の人も腹をたてるほどだったので、たいへんみたいです。
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    昔の同僚さん、
    ロシアの近くへ行くたびに同僚さんを思い出します。なんであんなにロシア人女性が好きなんだろうかと?それから無類の移動好きだったことも。
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    shihoさん、
    え!おとうさまもコーカサス3国へ?それはすごい偶然ですね。あまり役に立たないかもしんないけど「悪い例」くらいの参考になるかもしれません。ここ数年の旅の中ではもっとも過酷になりそうですが、まあ、そういうもんですね。
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    Yossyさん、
    水鉄砲・・、ああ、ソンクランですね。タイの旧正月、ということはプーケットに行かれたのは4月? すごくいいタイミングでしたね。「風のむくまま気の向くまま」的な旅もいいし、のんびり癒し旅もいい。でも恒例のひとり旅だけは、あるいみ「なまった身体に活を入れる」ようあえてめんどくさいことをします。めんどくさいことって、眠っていた感覚を呼び起こさせるような気がしませんか?しませんね。すみません。
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    riesenmausさん、
    うらやましがられて光栄です。ぼくも「あんな旅ができてうらやましい」という旅を、ひとつずつ実現しています。お金もなく時間もないけど、やろうと思えばあんがいいろいろできるもんですね。ドイツはいいですね。それにしても「突き抜けた感じ」のriesenmausさんってどうなんでしょう?

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    ABOUTこの記事をかいた人

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。