通名の自由使用が日本を危険に陥れていた?

イラ写を始める直前のことだから9年前。
当時住んでいた香港から東京へ出張したとき、ある担当者を紹介された。名刺には日本人の名前。だけど話しぶりや外見は外国人としか思えない。「帰化されたんですか?」と思わず訊く。相手は「いえ通名ですよ」とこたえる。「つうめい」なんだそれ?

ぼくはこのときまで「通名(つうめい)」という言葉を知らなかった。さらにおどろいたのはこの通名は好きなときに何度変えても、いくつ持ってもおとがめなしだという。のけぞりながら、だいじょうぶかこの国は?と思ったものだ。案の定、過去28回も通名を変えていたり、6つの通名を使い分けたりする外国人がいることがわかった。

2012年、民主党時代(いま思っても最悪の政権でした)外国人登録制度が変わった。いつのまにか外国人登録法が廃止され、外国人証明書が廃止になっていた。バブル華やかし1980代の終わりに一時期東京で暮らしていたことがある。妻がドイツ人だったということで、外国人登録の手続きをする必要があった。なんども入国管理局とやりあい、役所に通わされた。不快な思いもした。とはいえ必要なことでもある。実際、ぼくが外国人として海外で暮らしていたときは、同様に様々な書類を提出し、納税や保険の有無など外人局でしっかり管理され、定期的にそこへ出頭を命じられたものである。国はまず自国民を優先して守る義務がある。哀しいかな外国人は二の次である。

前日の記事で「日本はスパイ天国」ということに触れた。なぜか?重要な機密情報を漏らしても罰するルールがないから抑止しづらかったということと、変装(なりすまし)が容易であることだ。前者は先日可決した特定秘密保護法案でなんとか防ごうとしているが、後者の「容易に日本人になりすまし、かつ次々に名前を変えられる」という現状はどうなっているのか?

つくづく日本というのは不思議な国である。
国家が国民の安全や財産を保障しようと対策すれば各マスコミはそろって反対の立場をとり、次々と大衆を焚きつけては廃案に追い込もうとする。そのいっぽうで、外国人(とくに日本人と見分けの付きにくい中国人や南北朝鮮人)の犯罪、つまり日本国民の生命財産が危ぶむ可能性のある法や施策については、興味ないといった感じだ。おかげで「通名の実態」にせよ「外国人登録制度の廃止」にせよ、ふつうの国民にはあまり知られていない。だが気づいて騒ぐ人もでる。するとこんどは「ヘイトスピーチ」と非難し断罪してみせる。都合次第で情報を出したり出さなかったりする同じ舌を使って「国民の知る権利を守れ」とか言う。恥ずかしくて、代わりに穴に入りたくなる。

世界でも比較的犯罪の少ない日本。
それでもまいにち新聞をにぎわす犯罪が後を絶たない。犯人が挙げられ名前が載る。だがこれ、通名である可能性がある。日本人名だからといって日本人だとは限らないのだ。「だって犯罪者でしょ. 本名出すんじゃないの?」とあなたは思うかもしれない。だが日本のマスコミの一部(NHK朝日新聞毎日新聞)は犯人が外国人であっても本名を載せず、なぜか日本人名の通名を載せている。通名で口座を作って金融犯罪をしたり、人を殺めておいて通名を変えて逃亡する例もあるにもかかわらず。「通名で指名手配され、名前を変えて逃げる犯人」なんてこともあるだろう。なんといっても32回も通名を変えたり、いくつもの通名を使って生活してもおとがめなしなのだから。通名を載せる新聞社は、逃亡を手助けする共犯者といわれておかしくないではないか。

通名の問題については、以前から指摘されていた。
けれども民主党政権は在日外国人の支持者も多く、彼らを不利にさせる施策はなかなかうちづらい事情があった。守るべき対象が国民ではないところが民主党政権の主流である。いまの安倍政権はそんなものないし、外国人犯罪にも容赦ない。そこが左派によるネガティブキャンペーンにつながりやすいところなのだが、ぼくたち普通の国民にとっては頼りになる。まず安倍政権は2013年11月15日、通名の変更を厳格にし、原則として変更できなくさせた。これは片山さつき議員の貢献があった。「厳格にした」とあるが、ようするに一般の日本人並みにしただけのことである。(日本人だって改名するには家裁の許可が必要)外国人だと、「届ける」だけで通名が変えられたこれまでが異常だったのだ。

日本は少しずつまともになりつつある。
そう信じたい。

7 件のコメント

  • 日本人は日本人を信じない、日本人は日本を悪く言う(特に外国に居る日本人は)、等はお互いにドイツのこの地で散見したことでした。でも、日本人は 「強い」 国民だと思います。その気になれば第二次世界大戦の時の様に20隻に迫る空母群を運営できる国、原爆も水爆も、一旦決心したらプルトニウムは腐るほどあるんだから、すぐに世界でも5本の指に入る核大国にもなれるでしょう。日本は東アジアの中で2千年もの間、辺境の国の立場でホゾを噛んで来た国、でも国家統一は2千5百年もの前の数百年戦争(渡来系の弥生人と原住民系の縄文人)を糸魚川構造線を境にした広大な原生林を挟んで繰り広げながら互いの抹殺を望まず天皇を軸に 「和」 を持って内戦を治めた国民です。だから、明治維新の時に西欧の矛盾に富んだ多分に人種差別的な開国要求を逆手にとって相手の懐に飛び込んで、アジアの同胞たちに「裏切り者」の烙印を押されながら、結局は白人たちを全アジアから撤退させた義侠心に溢れた国民、それが日本人だと核心しています。だから、なるようになるでしょう、日本は捩れや歪みで力瘤溜められる国ですから。

    P.S. 前の記事の肝心な場所にタイプミスがありましたので、これと交換してください。

  • こんばんは。
    通名の犯罪者ってすごく多いんですよね…(`・Д´・;)
    昔の同僚さんの「日本人は日本人を信じない」がすごく意外でした。
    海外ではそんな感じなんですね…(昔の話?)
    日本人はすぐ信用するという平和ボケというか悪いところがあって、そこに付け込まれてるとばかり思ってました。

    私はゆうさんのところから流れ着きました、ただの犬好きです。
    だからコメントはしない(できない)つもりでした。
    以前どなたかも似たようなコメントしておられましたが、ここにコメントするには私はふさわしくない。知識が浅いから。と思っていました。(今もです)
    私のような人間は、いくらもいると思います。
    先日も、なおきさんのエントリー”だけ”ならいつもどおり「ふむふむ。」と反芻するだけでした。
    つまりそれ以外への、かなり大人気ない気持ちでコメントしました。

    私は日本が好きでたまらないです。
    この国とご先祖様たちを強く誇りに思ってます。(←このブログもかなり影響してます)
    脅威を身近に感じるようになってから、それに気付いた気がします。
    彼らがもう少し賢かったら、日本人のことを理解していたら、気付かないままだったかも…。
    ちなみに個人的にマスコミへの最初の不信(彼らの言う民意への違和感)に気付くチャンスは「自己責任」あたりだったような今にして思えば。
    今が本来の日本に戻れる機会かもしれません。
    もしかしたら未来の教科書(真の歴史を載せたもの!)には重要な時代として載るかもしれないと、ちょっと期待しています。

  • ご無沙汰しています。
    今回の「通名」に関しては、正直知りませんでした。でも考えてみると学生時代にいくつか名前を持っている人がいたなぁ・・・と思いだしたりもしました。
    前回の記事でも触れられている『特定秘密保護法』に繋がる部分もあるかと思いますが、「知る権利」「表現の自由」「報道の自由」と言う割には、国民に与えられる情報は一握りですし、メディアフレームによって情報が操作をされていれば、マスコミが言うことを正論とは言えず、自分たちの主義主張を伝えやすくするための編集がなされているようであれば、もっての外です。
    基本的にマスコミは第四の権力という自負があるからか、最近ますます時の政権を批判することに固執しているような気がします。
    今、様々な業界に在日の方が就職し、自分たちの主義主張を伝えるような番組製作がなされているという声も聞いたりしますが(どこまで真実かは不明ですが)、自虐史観を持っている人達がこれを見たり聴いたりすると、ますます過去の日本を恥じて真実を知ろうとしなくなるのではないかと不安になります。
    現政権が行おうとしていることは、今まで不備だらけだった日本の情報流出を防ぎ、さらには日本国民の安全と自虐史観からの脱却だと考えています。ただ、どのような背景があるかは知りませんが、相当急いでいる感じがします。「自分が政権を握っているうちに基本形を作るんだ」みたいな感じです。
    『急いては事をし損じる』ということにならないようにしてほしいものです。
    「治安維持法」も「普通選挙法」施行に当たり、国家の混乱を抑止するためのものだったと理解していますが、政権が代わり、元号も変わり景気の悪化に伴い死刑制度が追加され、共産主義の弾圧へと変容していったことを考えると、「基本形」を作ることにより、構成の政権からどのように利用される可能性があるのかも慎重に判断していただきたいとも考えています。
    国民の政治家への信頼は基本的にないのだろうなとも思っていますが、以前ほどの「政治的無関心」も少なくなってきているとも思っているので、マスコミに操作されることなく「日本国」の状況、立場をしっかりと考えることができるようになる必要があるのでしょうね。民主党政権に対する歯がゆさも、それを考えるといいきっかけだったのかもしれませんね。
    相変わらずまとまりのない文章ですみません。

  • 初めまして。このブログのファンになって数年になります。
    私の祖父母たちは、日韓併合後まもなく、朝鮮半島から(強制でなく、多分生きるために)日本に移り住みました。なので、私は韓国系移民3世になります。
    日本人と取引きしながらの小さい事業や日本人も客とした商売等々、たくさんの苦労もあったようですが、日本で生活の糧を得ながら、子供をもうけ、日本社会や地域の中で生活基盤を持ち、戦後も日本をホームとして、家族との暮らしを続けたので、今の孫・私も、こうやって、東京イラ写の読者でいられるのだな、とちょっとしみじみです。
    私の日本名は帰化をしたので、法的には本名ですが、帰化前も、実質的には本名だったと思います。戸籍上にある韓国名のほうが、「ん?誰、これ、」という感じでした。普段まったく使いませんし。両親も祖父母も、親戚も同じでした。日本名が自分の名前でした。
    先の戦争に日本がもし負けていなければ、朝鮮半島やその出身の人たちは、朝鮮族日本人などと表現されたのでしょうか。朝鮮半島も、日本の朝鮮地方とか朝鮮州とか?
    日本人も他の国に多くの方々が移民として移り住んでおられますが、国籍は移り住んだ国のもの、たとえば、アメリカ国籍とかブラジル国籍とかですね。すべての移民、移民先すべての国ではどうかは確認していませんが。
    もし、朝鮮半島出身の移民の人たちに、敗戦後であっても日本の国籍が与えられていれば、名前もいくつも持つような経緯は起こりにくかったかも、とも思います。アメリカやブラジルの日系の方たちは、日本名のままだったのでしょうか。2世・3世の方は、ファーストネームはアメリカやブラジル名とかもあるようですが。

    これからの記事も楽しみにしています。

  • 移住と移住先での名前の変更という意味で興味深く読ませて頂きました。歴史的な経緯(背景)は分からないですが、「通称名」がニックネームとか本名を短くした名前なんかではなく、登録さえしてあればある程度の法的効力があるのですね。

    便宜的なようで、でも、記事の通り意図的に使われると危険ですね(効力はあるけど規制はできないとのことで)。登録回数は無制限、変更の理由も聞かれないのでしょうか、手続きも登録のみという簡単なものであれば、それはもう時代にかなっているとは言い難い制度です(今の時代、世界中で人が移住していますから)。

    成人であれば国籍を申請するのも現地で名前を変更するのも本人の意志次第と理解していますが、日本の通名制度は、制度というには位置的に中間、はっきり言うとあまりに曖昧すぎたということでしょうか。見直されてちょうどよかったのでしょう。現在まで(最近まで?)この制度が継続されていたほうが、なるほど不思議、ということなのでしょうね。ほんとに日本は不思議な国です。

  • 恥ずかしながら、通名制度自体、昨今の報道で初めて知りました。
    「出張先で〜」という事は、ビジネスでも通名でやってしまうのですね。
    本名を名乗らないというのは・・・不誠実な感じが。
    日本人の外人を嫌う気質が、通名を使わせているのかも知れませんが。

    とまで書いて、コメントを見て、実際の使われ方に納得。くれないさん、ありがとう。

  • 昔の同僚さん、一番ゲットおめでとさまです!
    壮観な歴史観、さすがです。海外に住む日本人は、日本人というアイデンティティが国内よりも強くなる傾向のはずですが、全共闘時代の団塊世代を中心に「反日」洗脳から解かれていない方もいらっしゃいますね。30代からこっちは国内とそれほど変わらないようですけど。
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    ちかさん、
    コメントを残してくれてありがとさま。ぼくたちのような一般大衆にとって唯一の情報源が新聞やテレビだった頃のマスコミは敵国条例(戦勝国+韓国が不利になるような報道ができない)やコミンテルンに操られるまま、その特権を活かして国民を印象操作していました。それが複数の情報源を同時に得ることができるようになった上、経年変化によって洗脳が溶け始めた大衆がおかしいことに気付き始めだしたのが、ここ20年の動きだと思います。報道で想起される「違和感」を大事にしてくださいね。あれ?と思ったら、またイラ写へどうぞ。
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    mu_ne_2さん、
    いつもながら力作コメントをありがとさまです。安倍政権は長期政権になることは自明なので、法案を焦って通す必要は本来ないはずです。あるとしたら緊迫した北東アジア情況。ある筋ではいよいよ中国の崩壊が危ぶまれ、日本では有事法案を次々にこなさねばならなくなりました。でないと在中邦人13万人の命が危ないという考えです。オスプレイ17機の自衛隊配備も邦人の救出を目的としたものと考えられます。先日中国財界人たちが訪日してきましたが、彼らは一様に「在中日系企業を撤退させないでくれ」と哀願していたといいます。それだけ自国の崩壊を現実シナリオを描いているのでしょう。在中邦人は中国にとって政治目的を果たすための、いい人質になりますからね。
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    くれないさん、初コメントありがとさまです!
    韓国系移民3世の方でいらっしゃるんですね。興味深いエピソードを添えていただき感謝します。移民の命名方法に興味が湧いてきました。英米では外国人人名に対して改名そのものは緩やかでも、銀行口座や政府機関へ提出する際には裁判所の決定が必要のようです。南米や欧州についても類似しています。つまり、日本のこれまでの通名の扱いが世界でも特殊だったのでしょうね。加えて、民主党時代にどんどん緩くなったのは偶然ではない気がします。ときどき祖国に対し耳障りの悪いことを書いていますが、どうか気を悪くされないでくださいね。
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    ぱりぱりさん、
    姓名も犯罪も納税も出生も婚姻もすべてひとつのID番号に収斂されるのが、おおかたの国の管理方法です。日本には戸籍という考えはあってもIDという具体的な識別方法がないうえ、個人情報保護という観点が加わり、それをいいことに脱税や犯罪などの不正がやりやすくなっている現実があります。ただでさえ補足しづらい外国人に対し通名で本名を上書きできる習性を認めたら、それこそ「好きに犯罪してください」という誤ったメッセージになってしまいます。在日の言われるまま法案を通し、あるいは廃案してきた民主党政権のずさんさがここにきて目立ちます。とくに菅政権時代。あの人が国外追放にならないのがこの国の良心であり怠慢だと思います。
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    楽庵さん、
    ビジネスで使う名刺に「マイケル」など発音してもらいやすい名前を使うのは海外の日本人もやっています。ただオフィシャルには、もちろん正確にはパスポート表記されたものを使うことが義務ですが。外人に気遣う日本人の良心は、ここにきて同胞を殺められたり、財産を毀損したりすることにつながることになることを認識した日本人は多いと思いますね。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。