ブラック企業の原因はぼくたち?

 

f:id:naokin_tokyo:20140804220043j:plain

2分遅れたことを詫びる車内アナウンス。

複数の鉄道会社の乗り入れなど、あんなにも複雑な電車の発着を分刻みで行える技術力やきめ細やかさ。そんな大量輸送システムを運営していながら、わずか2分の遅れで陳謝する謙虚さ。なんて日本はすごいんだ!と、帰国するたびにいちいち感激していたものである。ほかの国の輸送システムは、そもそも時刻表がない。「5分間隔で運行中」とアナウンスする程度。せいぜい時間帯によって間隔を短くしたり長くしたりするくらいだ。乗客にしてもそんなものかなと思っている。だから外国人も時刻通りに来る日本の地下鉄に感激して帰る。

だけど、そもそも1~2分の遅れで乗客に謝らねばならないのか、と思う。先日などは、電車が遅れたことで「どうしてくれるんだ。あやまれ!」と駅員に詰め寄る乗客の姿すらあった。きっと遅刻しそうだったのだろう。だが、たった数分の電車の遅れで遅刻する本人の時間感覚にまず問題がある。余裕をもって出かければいいだけのこと。お詫びのアナウンスは、前もってクレーマーの溜飲を下げておこうということか。だとすれば悲しい話である。乗客は自分のミスを立場の弱いものにぶつけ、鉄道会社は批判を恐れて過保護なアナウンスをする構図が浮かんでくるからだ。駅構内のポスターに「駅員に暴力をふるう人が増えています」と書かれていた。

先日久しぶりにタクシーに乗った。
感じのいい運転手だったし、いつものように「ありがとうございました」といい車を降りようとすると、「お礼を言われるお客様は少ないからうれしいです」と運転手がいう。さっきまでサービスについて話をしており、その流れのつもりだったかもしれない。聞けば、礼を言って降りる客は10人に1人もいないとのことだった。

消費者は「より良くより安いサービス」を求めてくる。そんな要望にすべて応えようと企業も努力し「安いのにすごく良い商品(サービス)」が生まれる。ライバルも負けじと出してくる。客が取られないよう、出さないわけにはいかない。サービスや商品スペックは高いまま、値段を下げる。それで低価格・過剰サービスがどんどん生まれる。消費者にとってはありがたい。だがそんな企業努力で犠牲になるのはコスト。仕入先はより買値をたたかれ、従業員はより安い賃金でより多くの仕事をさせられる。昨今話題になっている中国製チキンはこれの「なりの果て」ではないだろうか?また「ブラック企業」を生んでいるのも、ひいては正規雇用が増えないのもそのためじゃないだろうか?と、そんなふうに思う。

ぼくたちは消費者であり生産者である。

ぼくたちの払うお金は別の誰かの収入になり、ぼくたちの収入もまた別の誰かの払うお金があればこそである。払いが減れば収入も減るし、収入が減れば払いも減る。つながっているのだ。サービス要求が高すぎることのひとつに、「金を払うものが上」ととらえるふしがあるからだろう。「客なんだから」と、横柄な態度に出る人もいる。「お客様は神様です」という死語が蘇る。でも、お客様は神様じゃない。人間である。

良き消費者であること。
払うべきところでちゃんとお金を払い、店員や販売員に「ありがとう」とお礼を言う。感謝には感謝が、怒りには怒りが返ってくるのが人間社会。やったことは自分に返ってくるし、情けは人のためならず、自分や自分たちのためでもあるわけだから。

自戒を込めて書きました。

11 件のコメント

  • 全面賛成です!
    実は私は、レストランでもうどん屋でも焼肉屋でも、必ず「ごちそうさまでしたぁ」ということにしています。美味しかったなぁと思ったものは「○○がおいしかったですわぁ」と意識して言うようにしてます。
    大概、ニッコリして「ありがとうございます」と言ってくれます。
    黙ってぶすーっとする人はほとんど居ないですね。ニッコリしてもらえるのは、気分がいい。
    タクシー、散髪屋などのサービスにも「どーもどーも。お世話になりました。」と意識して言うようにしてます。
    スーパーやコンビニでもレジでレシートをもらった瞬間に「ほいっありがとっ」と言うようにしてます。
    別に値引きを期待しているわけではなく、単に、そっちの方が自分が気分いいからです。同じ金を払うなら、気分いい方がいいじゃん!と思ってます。
    きっと店の人も、チョットだけ気分いいと思うんですよ。もしかすると、その次もそう言ってもらえるように仕事するかもしれない。そしたら、それにあたったお客さんは、多少なりとも幸せなんだし。
    しなかったとしても、それでいいじゃん。
    誰も損するわけでもなし。
    って、思ってます。
    最近の日本人って、しゃべるのをもったいないと思ってるんじゃないかというぐらい、しゃべらないと思うんです。
    あるいは、気分よく振舞うことを恥ずかしがるというか。
    軽ーいノリで気分よくお礼を言ったりほめたりするのは
    「手間もかからず元手も要らず」
    の幸せのタネだと私は信じてます。

  • なおきんさん こんにちわ。
    お金を払うことは、その物やサービスへの感謝の意味と思えば自然に、「ありがとう」「ごちそうさま」と言葉も出てくると思うんですけどね・・・。私は食事をすればごちそうさまと言うし、ホテルなどに泊まれば「お世話になりました」と言うようにしています。お金を払って何かを「してもらう」が当たり前になってるのが怖いですよね。何を持って「客が上位」なんて考えを持つのでしょうね・・・。

  • なおきんさん。こんにちは。
    仕事柄タクシーはよく利用しますが、お礼を言わない人が90%というのには驚きました。みんな普通言っているものだと思ってたので。
    欧米でもアジアでもタクシーを利用しましたが、「本当に目的地まで連れて行ってくれるのだろうか?」「メーターが動いてるだろうか?」という心配が皆無な日本のタクシーは世界一だと確信しています。運転手も礼儀正しいし、おつりもちゃんと用意してくれている。なのに最近は日本のタクシーにも運転席と後部座席の間にプラスティックの壁があります。聞くと防犯目的という。物騒になったものだと嘆息しています。
    鉄道システムも、日本ほど、過密ダイヤであるにもかかわらず時間に正確なシステムはないと思います。ダイヤや運行システム自体もそうですが、それを実現している駅員の方には頭が下がります。人身事故があったときに流れるアナウンスでもよく駅員の方が謝罪していますが、論理的に考えたら鉄道会社に非が無いことがほとんどです。それなのにたった数分の遅れでさえ謝罪を要求する・・・。間違っているとしか思えません。
    社会システムはその地域や国の要求レベルを反映しているものだと思ってます。サービスに対する日本社会の要求の高さはちょっと高すぎるように感じます。
    私もなおきんさんの意見に賛成です。
    よき消費者、よき生産者であることを意識し、適切なサービスに適切なコストを支払うようなりたいものです。
    そういった意識が「お客様は神様」的な尊大で一方的な関係ではなく、心から「ありがとう」といえる相互的な関係を築けるのだと思いました。
    とても参考になるブログでした!

  • こんばんわなおきんさん。
    アルジェリアの旅は思い出に残るたびになりましたね。お帰りなさい。
    昨日は69回目の広島の原爆の日でした。
    亡き父が会社に行く前に毎年黙祷をしていました。私も1分間の黙祷をしました。
    珍しく雨の慰霊祭でしたね。

  • Alinamin2011さん、一番ゲットおめでとさまです!
    すごくポジティブになれるすてきなコメントをありがとさまです!まさにそうですね。気負わないさわやかなお礼、ちょっとした気遣い。そういったものの集積が暮らしの中にある。そんなふうに読んでて思いました。ぼくもいっそう声掛けをしていこうっと。

  • 紋白さん、
    ほんとですね。でもその対価、お金以上のものかもしれませんね。好循環スパイラル!

  • とんきちさん、
    まったくですね。つきつめれば結局、感謝の気持ちに行き着きます。感謝の言葉を発するとき、もっともそばで聞いているのは自分自身。感謝しているのに感謝されている気分にもなります。ね。

  • Magさん、そうそう!海外でタクシーに乗ると、「ボラれないだろうか?」と余計な心配をしてしまいますね。その点、日本はまず安心。>「社会システムはその地域や国の要求レベルを反映しているものだと思ってます。サービスに対する日本社会の要求の高さはちょっと高すぎるように感じます。」<ズバリ気持ちを代弁してくれました。ありがとう!

  • ニモさん、広島原爆記念日の6日、珍しく雨でしたね。思えば当日も晴れていたからこそ投下できたわけで、いわくつき。かつて連合国だった国からの公式参加が増え、祈りが絶えず行われていることにあらためて感慨深いものがありますね。

  • 私もなおきんさんや皆さんの意見に同感です!
    お金払う立場になると途端に態度が大きくなる人ほど、普段の生活でのストレスを発散させているように私の目には映ります。
    サービスへの高すぎる要求もさることながら、ブラック企業はその会社のトップのサービスの捉え方や人格にもよるのではないかとも思えます。
    お客様に平身低頭、低い料金で可能な限りのできることを従業員にさせますよ!
    という思考があるように感じます。
    そこには、自分の会社の従業員に対する支配欲の強さも伺え、それこそ、「お金払ってやってるんだからその分息つく間もなく働け!」という経営者のおごりがあるように思えてなりません。
    あなたの奴隷じゃないんだから!と、そんな企業をみかけるたびに思います。サービス面だけ捉えたら一見、人に温かくみえるけれど、従業員という人に対する面からみれば、実は非常な一面があるといえます。
    「金にモノを言わせる」という点では、ブラック企業のトップもやたら威張るお客も同様ですよね。
    これは家族という単位でみても同様で、外部の人間に対して卑屈なまでの過剰なサービスを提供する人って、たいていはその身内にしわ寄せがいき苦労しますよね。
    いいカッコしいの見栄っ張り、自分の器以上のことをしたがる人のもとにいる人は苦労が耐えないと思います。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。

    日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

    ABOUTこの記事をかいた人

    なおきん

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。