憲法は国産で

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日本が建国してからの歴史は2000年以上(諸説ある)。
だのに外国に主権を奪われ、支配されていたのはわずか7年(1945-1952)ということにあらためておどろく。支配していたのはGHQ(ほぼアメリカ)、そのGHQが創案したのがいまの日本国憲法である。主権を回復する5年も前に公布され、施行された。
 
それだからか憲法前文にはおかしな記述がある。
 
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
 

 

ふつうに読めば、日本人の安全と生存は「平和を愛する諸国民の公正と信義」にゆだねているとある。なんだこの「平和を愛する諸国民」てのは? 原案はGHQが作っている。早速調べてみると同文は英語で ”the peace-loving peoples of the world” とある。お花畑かよ!といった響きである。だが「平和を愛する諸国民」というのは日本をとりまく近隣国であり、戦争に勝った連合国のはずだ。きっと日本に統治されていた国々も含まれている。
 
GHQ原案】Desiring peace for all time and fully conscious of the high ideals controlling human relationship now stirring mankind, we have determined to rely for our security and survival upon the justice and good faith of the peace-loving peoples of the world. 
 
GHQ原案の直訳】我等ハ永世ニ亘リ平和ヲ希求シ且今ヤ人類ヲ揺リ動カシツツアル人間関係支配ノ高貴ナル理念ヲ満全ニ自覚シテ、我等ノ安全及生存ヲ維持スル為世界ノ平和愛好諸国民ノ正義ト信義トニ依倚センコトニ意ヲ固メタリ
 
 
日本国憲法 前文】日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
 
自国の安全保障を他国に任せ、自分たちで護らない。そうすることに決めたからね、と宣言する。こんな国、同じ敗戦国のドイツを含め他にない。あらためてヘンではないか。だが憲法発布当時の1947年、日本は自ら起こした戦争に敗れたばかり。多くの人が家族や家を失なって生々しい。やり場のない怒りや罪悪感を当時の政府や軍部、自分たちへと向けていたし、アメリカなどの連合国はそんな悪い日本から平和を取り戻してくれた救世主のようにもみえた。だから戦争に勝った連合国を「平和を愛する諸国民」と言われても諦観したのかもしれない。まずは生きるのにせいいっぱいで、ほかに向ける余裕がなかったこともある。
 
だからといってそれはフェアでない。
日本国憲法は占領軍と言われるGHQによって草案された。ゆえに日本が今後、二度と自分たちに歯向かわないような内容がおりこまれるのはしかたない。治めるものは議に長けるのだ。一例がこの前文なのだとぼくは思う。この点が国産である大日本帝国憲法とも、ひいては十七条憲法とも大宝律令ともちがうところだ。再独立できたあかつきには、あらためて見直せばいい仮憲法という位置づけ。命じたGHQですらそう思っていたふしがある。自分たちが去ったあと、おそらく日本人なら自分たち用に作りなおすに違いないと。それで魔法をかけておいた。近隣諸国条項とマスコミへのプレスコードの徹底である。日本のことはいくら悪く書いてもいいが、アメリカと中国、朝鮮の悪口はけっして書いてはならない。これらが、いわゆる自虐史観といわれる戦後民主主義の布石となった。
 
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前文にある「平和を愛する諸国民」といわれた国々は、その後も戦争ばかりしている。イギリスやフランス、オランダなどは戦時中 日本に奪われたアジアの植民地を取り戻そうと戦争を起こしたし、中国は中国人同士で殺し合いをしたり(国共内戦)、チベットやモンゴル、ウイグルで民族虐殺をし続けた。朝鮮は南北に分かれて殺し合い、ソ連は各地に軍を送り続けたあとやがて自ら崩壊していった。アメリカに至っては戦後、世界で最も多く戦争している。オマエが平和を語るか、という感じである。
 
日本は戦後独立してからも、そのような「平和を愛する諸国民」たちによって外国軍に駐留され、北方領土を奪われ、竹島を奪われ、尖閣諸島を狙われ、さらに日本人が他国に拉致されても自衛隊は出動できない。加えて日本のあちこちに多くの工作員に潜入していても、これを排除する法律すらない。2014年にようやくできた秘密保護法案は主要国ならどこにもあるスパイ防止法の一環だが、例によってリベラル派をけしかけ猛反発した。きっと法案があると都合が悪いのだろう。なるほどPeace-Loving Peopleである。こうなると「平和」という定義そのものがうさんくさく思えてくる。
 
憲法を改正してはならない、という人たちは同時に秘密保護法案や集団的自衛権の行使についても反対している。とくに意識しなければ、ぼくも反対していたかもしれない。マスコミの世論誘導は巧みなのだ。また彼らは「日本はもうダメだ」と悲観する傾向があるが、これも偶然ではない。悪いニュースのほうが新聞は売れ、テレビは視聴率がとれることを彼らは知っている。
 
憲法改正に反対する意見も一理ある。
とはいえ70年も古い世界情勢と社会環境に合わせて作ってあるから、当然今の時代に合わなくなっている。改憲すべきは9条以外にも多いし、それは護憲派の人たちだって同じ考えのはずだが、たとえ一句でも変えた前例を作ってしまえばなし崩し的に9条だって変えられてしまうと危惧。それで変えてなるもんかと意地を張ってきた。その犠牲は少なくない。憲法解釈をめぐる不毛な論争。軍隊を持たないはずなのに自衛隊。権利はあるが行使できない集団的自衛権。他にすべきことはたくさんあったはずなのに。
 
憲法改正についてしっかり論議して欲しい。少し前までは「改憲」というだけで右翼扱いで、国会もマスコミもまるで犯罪者扱いという思考停止状態。ちっとも議論にならなかったことを思えば、いま論議の機は熟しつつある。とまどいつつも人は学び、こうして前へと進むのだ。論議は長期戦になるから政権も長期である必要がある。現政権を逃せば、あとはないかもしれない。
 
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実り多き一年でありますよう。
 
 

6 件のコメント

  • あけましておめでとうございます。
    今年もよろしくお願いします。
    なおきんさん、年初のこの一本の記事は、「改憲」が問題といわれる問題の基本、そして核心をついてるかもしれませんね(^^)
    憲法って難易度高すぎます。国民であるなら、教育システムのどこかで習った経緯はあっても、読んだことのある人って、村上春樹の読者数ほどは絶対いないと思うのです。(習ってたって、寝てたかも知れないし。)
    ましてこの憲法は日本国憲法とはいいつつ、元々は英語なのだから少なくとも二ヶ国語に長けていないといけない。この記事で紹介された前文の例なんて、読んでて、へえーとか、斬新だなあ、とか感じた人、結構多いのではないかと(私も)。
    基礎がそんな状態なのに、推進する人たちと、反対する人たちの間で揉まれて、どういうわけか二者択一を迫られてる気がする。改憲が参戦に関連してるらしくても、どういじるとどういう違いが出てくるかなんて、法律家でも説明するのって大変そうなのに、一国民として何も知らないまま決断せよ、というのは無理な話だと思いました。
    何のための改憲かスッキリと、そして何より憲法そのものをまず教えることから始めてほしいと感じてます。そして十分な議論を尽くす。この過程なくして、誰かの意志だけ盛り込んで法律家が超高度な作文作業をしただけの憲法が出来上がるのは実際、怖いかも。うーん、国民には何も説明しないで憲法変えちゃいたい政治家はいるかも知れないですけど。
    メディアとか評論家、解説者の説明じゃなくて、もっと身近で、地域に密着した、質問したら一緒に調べて考えてくれる、そんな人が憲法について、超世代向きの講座とかもってくれればいいのに、と思ってしまいます。
    「改憲」の二文字のなんとハードルの高いことか。安易に賛成も反対も言えなくなってしまい、ます(笑)

  • もー、連絡先を上げたのに連絡くれませんでしたね。でも、腐れ縁ですから、あけましておめでとうございます(何のコッチャ?ですね・笑)。この問題、深いようで浅く浅いようで深く、近代~現代の日本の総括的な象徴な感じがします。ああだ、こうだしている内に、世界はどんどん回っていくのでしょう。僕等もだんだん時間がなくなってきましたね。会える内に会っておきましょう。次回、よろしくお願いします。

  • ぱりぱりさん、あけまして一番ゲットおめでとさまです!そもそも、リベラルは護憲派、タカ派は改憲派というステレオタイプに別れて争っているという構図が、日本のためになっていない気がしますね。それから「憲法は国民が国を見張る為にある」とも言われます。これも現実的なのかどうか・・。

  • 昔の同僚さん、
    教えてもらった宿泊先に電話したところ、既にチェックアウトでメッセージも残っていないとのことでした。急のことで慌てて都内に戻ったのに・・。というわけで行き違いで昨年は終わりましたが、今年こそよろしくお願いします。

  • そうでしたか、ごめんなさい。近々にまた行きますので、その際には余裕をもってご連絡致しますね。いずれにしても、良いお年を。

  • 昔の同僚さん、いえいえ。来日時にはでも前もって教えてもらえると嬉しいです。これでもあちこちいってばたばたしてますから。

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    なおきん

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。