菅直人首相。
ぼくは現役の首相の悪口を書くことを極力避けてきたが、この男だけは違う。知る限りもっとも首相にふさわしくない人間だと思う。
市民運動家のほとんどがそうだが、菅直人も「有事」とは「日本が起こす戦争」のことであり、平和さえ唱えておけば外国が日本を攻めてくるなどあり得ないと思っている。だから「子ども手当」のためにまっ先に防衛費を削った。結果はごらんの通りである。
これほどの大震災だったにもかかわらず、政府の打つ手はすべて後手に回り、後手どころか裏手に回ってしまい動いたぶん、よけい混乱させたりした。自然災害も含まれるはずの「有事」はいつのまにか戦争と同義語で、中国や北朝鮮が日本を攻撃するわけがないから有事なんて絵空事、などと解釈する始末。
だから有事即応の研究がほとんど不在で、未曽有の悲劇が起きても「非常事態宣言」すら出さなかった。
「いざとなれば米国が・・」ということなのだろうが、当の米国はとっくにあきれて「火事場の馬鹿力はこう出すものさ」とトモダチ作戦を大規模に展開してみせ、被災者や関係者を感激させた。やっぱアメリカはスゴイやと。だが拍手している場合じゃない。
それを見て周辺諸国は「日本がこれほど弱かったとは」と嬉しそうに軍事シナリオを書き換えたはずだ。このままじゃ尖閣諸島どころか沖縄すら危ない。一機120億円もする国産の最新鋭F2戦闘機18機は他の10機とともに津波で流され、飛ばずに沈んだ。だが普通の国はこんな軍事機密情報は絶対マスコミに流させない。利敵行為だからである。危機意識の欠如はこんなトコロにも見られる。
開発途上国ですら災害発生時から4日も経てば援助物資が被災地に届く、とタイム誌はいう。たが東北では自衛隊を10万人も出動させながら、救援物資が届くのに恐ろしく時間がかかっている、と。
民間の船舶会社からヘリコプターの離着陸にとコンテナ船を提供されるが「正式な資格がないから」と政府は拒否し、外国の医師団から被災地で患者の診療を求められると「日本の医師免許がないから」とこれも拒否。こうなってくるともう、事なかれは主義はりっぱな殺人である。
有事シナリオがなければ、ルールは平時のまま運用される。
震災直後のガソリン不足。理由は石油備蓄を70日間にしたままだからだった。これを45日間とし、市場に石油を放出したのは2週間後。遅すぎる。ていうか、もともと70日間しか備蓄してなかったのかと。普通の先進国なら100日前後ぶんは備蓄している。危機意識が欠如している上、意味を履き違えている。
海外のメディアは日本民族の危機意識の高さを賞賛し、後でこき下ろした。「かわいそうな日本」と同情の理由先を、大震災から日本政府へと変えた。
有事シナリオには非常事態宣言(戒厳令)が含まれるものだけど、日本ではなぜか「軍靴の足音が聞こえる」などとヘンなすり込みばかりで法律すらない。有事はふつう国軍が対応するもの。けれども反戦市民運動家たちは、周辺国の人たちのトラウマを心配し、自衛隊の強化に文句ばかり言っていた。そのひとりが菅直人だが、まさかこの人によって自衛隊が指揮されるとは笑えない冗談にもほどがある。
▲ それでも個人的には少し期待したのに・・
阪神淡路大震災で露呈した自衛隊、警視庁、消防庁の縄張り争いは、東北でもやはり起こった。理由は指揮系統のなさだ。米軍の協力を数日間断ったりもした。頼っておいて、しかも優柔不断なのだ。厚労省は言われるまま被災地別に薬を用意するが、道路行政は国交省、道路修復は自衛隊、道路走行規制は警察庁と、それぞれ指揮系統がバラバラである。結果、薬すら倉庫に山積み。食料は腐り、衣類は雨に濡れた。とどのつまりは原発事故の処理であるが、多すぎて書きたくない。
なかなか決められない政府だが、すんなり決まったことがある。
まず放射能汚染に狼狽し逃げ出した中国人留学生などに再来日に必要な費用を出してあげることにした。それからODAを2割減らすのをやめた。復興資金の目処はつかなくても、海外への開発援助は一銭たりとも減らさない。さらに子ども手当をやめるのをやめた。さっそく自治体窓口に外国人が押しかけ「子どもがいればお金がもらえると聞いた」などと職員を困らせているそうだ。
泣けてくる話だが、他にすることがなかったのか。
ともあれ、親はなくとも子は育つ。
世界の人達を感激させたようにひとりひとりはほんとうによく奮闘した。自衛隊員も警察官も消防隊員も消防団員も各職員も。民間企業も。日清食品は100万食のカップラーメンを被災地に届け、コマツは大型クレーン数百台を独自ルートで被災地へ急行させた。無名なふつうのひとたちもそれぞれにがんばった。震災後みずほ銀行のATMシステムが壊れたのは、義援金の振込が殺到したからである。
しかし限度がある。普通の人たちは官僚も警察も、ましてや自衛隊を指揮することはできない。できるのは首相しかいないのだ。
「でもね、ちびきち。日本もまんざら捨てたもんじゃないんだよ」
日本はこれからどんどん復興する。
ぜひ有事即応の体制も忘れずに復活させて欲しい。
それにしても95年大震災のときが村山富市、で11年大震災が菅直人。もと反戦(反日)運動家だったひとが首相になると、どうして大きな地震が起こるんだろう?
▲ 村山談話でおなじみですね、村山元首相。なんだか中国と南北朝鮮の味方ばかりしてました
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