夜中に目を覚まし、ベッドから身を起こす。
疲れているだろうからと早く床についたのが災いした。
まだ2時過ぎだというのに、もう眠れる気がしない。
不思議な夢も見た。前にも見た夢。後味が悪い。
せっかくだから、このまま起きていようと思う。
自分のためにコーヒーをいれ、
つられて起きて来たちびきちの茶碗の水を取り替える。
コーヒーをひとくち飲み、小腹がすいていることに気づく。
冷凍庫にうどんをみつけ、鍋を火にかけ茹でる。
夜中にうどんを茹でていると、なぜか敗北感を覚える。
このまま夜が明けないんじゃないかとすら思う。
うどんは美味しいし、もちろん夜だって空ける。
実を言うと、うどんがうまくすすれない。
音を立てて口の中に入れることができないのだ。
以前はできた。だが何十年も前にドイツで矯正されたのだ。
ヨーロッパ人のように音を立てずに食べれるようになると、
こんどは音を立てて食べれなくなってしまった。
音を立てずにうどんを食べる自分が、ひどくしょってる感じがする。
まるでカタカナ専門用語を使いたがるコンサルかぶれみたいだ。
うどんをこっそり音を立てて吸い込み、むせる。
服にツユがとび散る。白いシャツだと目立ってしょうがない。
マイ箸どころか、マイ前掛けを持ち歩きたくなるところだ。
そんなわけで、できるだけ外でうどんを食べない。
夜中に食べるうどんの具は決まっている。
たっぷりの、とろろ昆布と削り節とネギ。
唐辛子は入れない。夜中に赤いものを口にしたくない。
深い意味も根拠もない。そんな気がするだけだ。
夜明けまで、だいぶ時間がある。
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