網膜ディスプレイ

iPadを、今年も買ってしまった。

会社の女の子に「バカねえ」と言われる。「それって毎年5万円払ってることでしょう? 毎月まいつき4000円払い続けてるようなもんじゃない」と。そんな彼女は、化粧品だけで毎月まいつき1万円以上払い続けているのだけど。

女の子は美しくいるためにお金を使い、ぼくは美しいものにお金を使う。人間は美しいものが大好きなのだ。iPadはデザイン以上に、まずその画面が美しい。今回発売されたモデルは、とくに美しい。iPhoneにはすでに実装されていたレティナディスプレイである。まっていたよ、レッティーナ。網膜ディスプレイ。

ふつうパソコンを新調すれば、データを移したり戻したり、設定を変えたり、ネットワークやプリンターなどの周辺機器がこれまで通り使えるように、あれこれいじったりしなくちゃならないものだ。

それがどうだろう?このiPadは。
買ったばかりなのに、たちまちこれまで使っていたiPadと同じ環境になる。アプリも音楽も写真もブックマークしたWEBサイトも、そのままである。2,3回クリックしただろうか。データ転送は、ほうっておけば十数分で完了である。

かつてIBMMicrosoftNortonなど、あらゆるハードメーカーやソフトメーカーがこういう世界を目指し、苦労したあげく、やっぱりダメだと結局利用者に諦めさせていた。パソコンデータや環境のバックアップやリストアはメーカーが言うほどカンタンじゃないし、時間も手間もかかる。高いカネを払ってプロにやってもらわなくちゃならない人も多かった。あのころからすればもう隔世の思いである。アイパッド、マイパッド。

新調したところで、ぼくがiPadでやることは今までと変わらない。
文字を読み、写真をいじり、イラストを描き、映画を観る。だけど文字は読みやすくなり、写真は映え、イラストの線はよりなめらかになり、ムービー画面はより密度が濃くなっていた。

1.雑誌を読む

▲ 雑誌の細かい文字も拡大せずに読み取れました

2.ネタ記事を執筆

▲ キーボードは以前紹介した弁当箱のフタ。データはすべてクラウド

3.映画を鑑賞

▲ モノクロ映画でもグレー色調が明瞭で小道具も映えます

4.イラストを描く

▲ グラフィック能力が高まったせいか、より紙に描く感覚に近いです

▲ 線のハネ具合や、強弱もより精緻に表現できます

▲ 描画ペンはJot Mini Capacitive Touch Stylusを愛用。ペン先についた透明のパッドのおかげでペン先部分が画面が隠れたりせず、とても描きやすくなりました。デザインもいいです。

見かけはちっとも変わらないのに、画面の密度が4倍になった。文字や写真が感動するほど滑らかである。キレイすぎて奥行きが生まれ、立体的にみえるほどだ。

新型iPadiPad2

▲ 画面の一部を顕微鏡で拡大したもの。上部が新iPadで下がiPad2。違いは歴然ですね

映画なんか、大画面テレビで観るよりこっちで観るほうがいいんじゃないかと思うほどだ。理由は画素数液晶テレビはいくら大きくたってピクセル数は1920 x 1080 = 200万画素である。いっぽうiPadのほうは、2048 x 1536 = 300万画素もある。画面サイズこそテレビがデカイが、画素数iPadのほうが1.5倍も多い。

テレビとiPad

▲ 37″テレビとの距離は3.0m。iPadとの距離は0.8m。後者のほうが大きく見え、しかも解像度が高いとなれば?

大画面テレビは距離がある。
iPadは膝かテーブルの上にある。
つまりは、遠くのテレビより近くのiPad

ということなのだろう。

iPadと周辺機器

iPhone4Sで使えるほとんどのBluetooth機器はiPadでも使えました。映画の臨場感もこのスピーカーなら充分満足

期待してなかった機能のひとつに音声入力がある。
日本語モードのときは日本語で、英文字モードのときは英語で、話したことをちゃんと文字にしてくれる。ちなみに、”てん”といえば「、」を、”まる”といえば「。」を、「かいぎょう」といえばちゃんと改行してくれた。これでiPhone同様、キー入力がぐっとラクである。ぐぐぐっとラクである。

音声で文字を入力しているところ

▲ 漢字変換も正確にできてびっくり。ゆっくりはっきり喋る必要があるけど、学習効果も期待されるので使うほどにより正確に入力できるようになるんでしょうね

ぼくは右手を痛めていてキー入力には人一倍苦労をしているが、しゃべるだけでこんなに入力できるのなら、たとえ右手が使えなくなろうと将来も安泰だ。おっと、イラストは音声では描けないだろうけど。

それはそうと、iPadを持つとなぜか旅に出たくなりませんか?

必要なものは全部この中に入れて、旅先で見たり触れたり感じたものをキャプチャーして戻ってくる。もしかしたらiPadこそは旅を表現作品に変える装置なのかもしれません。

なんでもできるけど、したいことをジャマしないデザイン。
よく考えられているなあ、とつくづく思います。

今年の秋は少し小さめの「iPad mini」が発売される噂。
こんどこそ、買わずに見送ろうかと!

7 件のコメント

  • 新型iPadの凄さ!でもいつもながらなおきんさんのこの詳細な解説に魅了されました。
    実際に手にとって見る以上です。
    色々事情があって(聞くも涙語るも涙の物語)まだiPad1なので、買い替える資格十分の私。
    そうなんだ音声入力がそんなに良いんだ〜!
    でもね、「iPad mini」は遊子の場合絶対欲しいところ、旅行時にはたとえ卵一個の重さも考えるもの。
    でも噂でしょう?ええい、ままよ、出たら出た時の事!
    折角おとなしくしていたのに(笑)、俄然買う気満々になりました。
    というか、買う理由が明確になりました、ありがとう!

  • 買ってきたよ〜!
    田舎(シドニーから西に80?)だから、なななんと在庫があって即入手!(笑)

  • ううっ、しばらく iPad2 でいいやと思っていたのに・・・欲しくなってしまいますよ! うう、来年まで我慢だ、我慢・・・!!

  • お久しぶりです。私はずーっとwindowsと共に歩んできたのですが、以前からのなおきんさんのmac記事を読んで洗脳されて?!先日macストアに足を運びました。ipadを見に行ったのですが、結局mac book air を買ってしまいました!iphoneからじわじわmacの魅力に引き込まれてきたのですが、今回でノックアウトです。
    これからは私の周りにmac製品が増えていきそうです。

  • さっそくのiPadレビュー、もう目から手が出そうな勢いで読ませていただきました。
    解像度のあまりもの違いにビックリ。
    そうですね。なおきんさんのおっしゃるとおりです。
    僕も次は絶対に3G はやめや!そう心に誓いました。
    先のコメントへのお返しもありがとうございます。
    ついついコメント返しを読みにまた帰ってくるということの繰り返し。こういうのをある種のコミットメントっていうんだろうなぁ・・・と。
    確かにそうですね。日本人はサラリーマン率が高くて、その他の国では、個人でなにかしらの生業を営むという人の割合が多いなというのは、いままで、いくつかの国で暮らしてきて感じます。
    きっとそういうのがあるんでしょう。自分もいつの間にやら、個人で生きるという選択肢を選んでました。孤独だし、楽じゃないと感じることも多いですが、まぁ、これも結局、生まれた時からもってきた何か宿命のようなものかもなと思います。
    でも「パパって友達いてないの?」と子供に聞かれたときは、汗をかきました(笑)。
    「みんな海の外なんだよ」とお茶を濁しときました。
    一期一会なんていってもわかんないだろしなぁ・・・と。

  • 遊子さん、一番ゲットおめでとさまです!
    こうやって期待以上の商品をみるとつい財布のひもが緩んでしまいますね。これはもう避けられないと悟り「無駄遣い貯金」というのを2年前からやってます。タバコ代や深酒代に使うはずのお金を計算し、あらかじめ別の銀行口座に自動振込みしておくんです。からだに悪いことに使っていたお金を無駄遣いする、というわけですね。ふふ、へんなの。
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    ねねさん、
    いいと思ったものはつい人に勧めたくなるのが人情。でも、これに5万円の価値を見るかどうかは、その人次第です。この頃はiPadでビデオ撮影するのが楽しくてしかたありません。
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    遊子さん、iPadゲットおめでとさまです!
    iPad mini まで待てなかったご様子。ていうかminiがでるかどうかもわかんないし。さて、来月はそろそろ新型iPhoneが・・・
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    楽庵さん、
    ええ、iPad2でもう十分です。でも新型の画面を見たあとでiPad2をみると、これがもう画質の悪さが目立って目立って・・。怖いですね、人の欲望とやらは。我慢です。美麗がめん、がまん。
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    Rachealさん、たいへんごぶさたしてます!
    ぼくもiPhoneからiMac → Macbook → iPad → Aacbook air と気がつけばMacだらけになってました。こわいですね。Air はホント美しいです。ぼくのは一つ前のモデルですが、いまだにピカピカしています。プラスチックじゃないってステキなことですね。P.S. 関西に行くたびに「いつかRachealさんのお店でお茶したい」と思っております。そのうちふらり立ち寄るかもしれません。
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    たいさん、
    「目から手・・」< (笑)想像したらちょっと怖かったです。「ものほしがる自分」を解放するにはいろんなシバリから距離を置きたいです。そうもいかないこともあるけど。モノを持たない生活にiPadはとても相性がいい気がします。好きな場所に移り住みながら暮らすスタイル、日本では普通じゃないけどぼくはそっちのほうが普通な気がします。きっとたいさんなら理解いただけると思いますが。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。