パンダの国の留学生

米国のCIAは、スパイ養成のために、名門大学のキャンパスにスカウトを出入りさせて、優秀な大学1年生(!)を青田刈りしているという。

同じことは中国でもおこなわれている。
共産党によって毎年300人もの大学院生が一本釣りされ、エリート・スパイとして養成されている。彼らは「スパイの親玉」としてエージェントを多数操って仕事をしていることがわかっている。

このエージェント、以前なら華僑やコミンテルンの人脈たちがやっていたものだけど、いまでは留学生がこれをつとめているのだという。世界に散らばる中国人留学生は40万人を超える。うち、8.6万人(2010年時点)近くが日本への留学生だ。

個人的には、反日教育の誤解がとけるから中国からの留学生が増えることはいいことだと思っていたが、エージェントが多数紛れ込むとあっては、あまり穏やかではない。ただでさえスパイ天国の日本にあって、数万人の留学生を注意深く見張ることなんて到底不可能だからだ。

彼らは主に産業スパイの手下として働く。
国外から有益な秘密を持ち帰れば、非公式ながら政府から多額の現金がもらえる。その額たるや、ちょっとしたアルバイトなんてもんじゃない。もっとも盗まれた民生技術を使って製品化しても、特許訴訟されてしまうから輸出品としては使えない。だけどあの手この手で干渉をかいくぐりつつ売りさばき、相当な儲けが出るケースも多いのだろう。

もっとも、軍事技術となればおおっぴらにことが進む。一般の特許に登記されていないケースが多く、盗んだもの勝ちだからだ。製品化されたものが兵器なら、人民解放軍で装備できる。目立たないところで、イランやアフリカ諸国にも売れる。2010年3月には中国人ハッカーにより、米ロッキード社から開発中の最強戦闘機F-35関連の機密情報がごっそり盗まれたりもしている。日本ではイージス艦の機密情報漏洩事件なんかも記憶に新しい。

以前はコソコソ行ない、疑われてもシラをきっていた中国政府の雇われハッカーも、いまではどうどうとサイバーテロに励んでいる。サイバー・テロは「ワーム」と呼ばれるウイルスなどをつかって本国から行われるようで、現地エージェントとの連携で効果的にスパイ活動を行なっているようだ。女子留学生によるハニー・トラップも多い。

また中国人留学生は、米国防総省から委託されている大学の研究室にも大勢いる。彼らは優秀だし、米国も民主国家を標ぼうしている以上「中国人だから」と排他するわけにもいかないのだろう。せめてもの腹いせで、彼らはサイバー防衛担当者たちから「パンダ」などと呼ばれ、警戒されているようである。

パンダのイメージが・・・

そういえば「さいきんモテるようになった」という某N○○社に務めるT氏の恋人は中国の学生だったことを、今しがた思い出しました。これって・・・!? ていうか、こんなエージェントが存在することでもっともわりを食うのは、まじめに勉強しようと留学してきた同邦のひとたち。ホント、お気の毒さまです。

5 件のコメント

  • 産業スパイ・・・そんなリスクのある人を雇おうとするよりも、少々トウがたってはおりますが、人畜無害のワタクシを雇っていただきたいです・・・。

  • スパイや工作員、たくさんいて、さまざまなことをしてるようですね。

    なにをしてるかいろいろ知り、怒り心頭です。

  • あははは、思い出しますね。二人して日系企業のしかも企業XXXの権化の様な会社に居て、あの欧州のマルチメディア超巨大複合体企業にアポを取ろうとした時に、「君たちから得るものは何も無く、取られるだけだから会う必要は無い」のような感じで門前払いされた事を思い出します。彼らにとっては我々がまさにこの記事の輩と同じだったのですね。ドイツに来てよ〜く分かったことは、ゼロ戦の照準器から桜花のロケットエンジンまで、全部が全部ドイツから学んだものだったと言うことでした。我々は産業革命の発起人でもなく、西洋的文明開化でかろうじて近代化の電車に途中乗車したのでした。今はお互い視点が西欧人的になっていて、多分、誰かを見下ろしているうちに、我々に抜かれかけた西欧人の様に、「肩を並べられる」 のでしょう。でも、それが道理と言うもので、アジアでただ1国より、西欧にはアジア圏で競っていくしかないでしょう。どんなにドイツにかぶれたって、地政学的な位置が遠すぎて決して近親になることは有り得ないのですから。

  • どらみっちょさん、一番ゲットおめでとさまです!
    そうですね、関係者のみなさん、どうか人畜無害のどらみっちょさんを雇ってあげてください。リスクと効果は紙一重なのかもしんないけど、それにしてもここのところサイバーテロは尋常じゃない。米国官僚の親中派の面目丸つぶれ状態です。
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    たいさん、
    ごめんなさい。お知り合いの恋人にまで疑惑を覚えさせてしまうような記事で。中国に進出している外国企業のメールや電話は、ほとんど横モレしている状態だそうです。国外のネット接続をいまだに北京、上海、広州の3箇所に絞って、出はいりを監視しているのだとか。
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    はてなさん、
    まったくです。F-35の機密文書が中国へ漏れたことから、再度設計をやり直し、また買い手が一段と減りました。そのため価格が倍増、自衛隊は次期主力戦闘機をF-35に決定していますが、40機購入するのに8000億円まで膨らんでしまいました。無人攻撃機を自国開発するほうが早い気がするのですが。
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    昔の同僚さん、
    第二次世界大戦時のドイツ兵器は、ものすごかったようですね。ただしゼロ戦について誇るべきはその2500kmも飛べる航続距離。当時ドイツのどの戦闘機も実現してませんでした。護衛戦闘機メッサーシュミットにゼロ戦並の航続距離があれば、バトル・オブ・ブリテンでドイツが負けることはなかったでしょうね。昨今の中国が腹立たしいのは、ろくな基礎開発投資なく盗みで優位にたとうとするところ。あの中国製新幹線を例にあげるまでもなく。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。