ロボットが家にやってきた

こどものころ、21世紀はものすごく遠かった。
でもそれは、あこがれていたからでもある。

当時、たいていの少年誌では「ぼくたちの未来の生活」的な特集が組まれていて、豊かで輝かしい未来の生活がそこはかとなく描かれていた。 子供のころのぼくたちは、自然と未来にあこがれ、「はやく21世紀になんないかなあ」と心を踊らせたものだ。
今の子供たちは、どうなんだろうか?
こんなふうに未来に心を踊らせたりするんだろうか?
そう想像すると、いささかうすら寒い思いがしてくる。 だいいち、ぼくたち大人たちが楽しそうじゃないのだ。 不機嫌で、ため息ばかりついている。
不安は敏感な子供たちに伝播する。 未来の自分の姿を、いまの大人たちの顔に見るかもしれない。 だとすればとても残念だ。
不況の最大の被害者は子供たちなのだとつくづく思う。

さて、ぼくが子供のころにあこがれた「21世紀の生活」には、ケータイや壁掛けテレビ、あるいはハイブリットカーは登場しない。
代わりに登場するのは、ロボットである。
各家庭にはロボットがいて、家族同様に暮らしている。 21世紀の生活とはそういうものであり、そんな未来にどこかあこがれていたように思う。

知っての通り、一般家庭の中にまだロボットはいない。
ぼくもせいぜい生きてあと30年。 間に合うんだろうか・・
なんてことを、少しだけ思う。

ぼくが『ルンバ』というお掃除ロボットを知ったのは5年ほど前。 「とても実用に堪えないだろうし、そもそもぼくが買えるような値段じゃない」というのが当時の所感であった。
その先入観が崩れたきっかけは、たまたま量販店で動くルンバをデモしてもらったこと。 大型フリスビーのような形状からは信じられないくらいの清掃力。 数十におよぶセンサーによる絶妙な動き。 壁にぶつかる瞬間、ちゃんと速度を落とすし、ゴミの多い箇所は何度も往復しながら念入りに吸引する。 2センチの段差では本体が持ち上がって乗り上てから進み、階段付近では落ちないように止まる。 バッテリーが減れば自分から充電ユニットまで進んで充電を始める。 充電中は寝息をたてるかのようにランプが点滅して、まるで生き物のよう。 動きがコミカルでなんかかわいい。 小人が中に入っているかのようだ。

「これはまさにロボットじゃないか!」と思った。
迷わず衝動買い。 あこがれのロボットとの暮らし。
注文した瞬間、「間に合ってよかった」と思う。

画期的なのは、本体から少しはみ出るように取り付けられた3枚プロペラのようなブラシ。 これが回転してゴミを掻きだすのだ。 このおかげで見事、床に張り付いた髪の毛や、部屋の角のゴミも吸取ってくれる。

ぼくが掃除機でキライなところは排気部分。
ここから漏れる特有のニオイや煤じんにはずいぶんと悩まされたものだ。 掃除機をかけたあと、しばらくすると空中に舞い散ったこれが再び床やテーブルに積もるのだ。 かえって汚れたんじゃないかと思うくらいに。
ところがルンバはこれがない。 排気から煤じんが吹き出さないのだ。 だからまるで「拭いたように」キレイになる。 ロボットなどとはしゃいでみたものの、正直言ってここまでキレイになるとは思わなかった。

「ルンバ、買ったんだ」
知り合いにそう話すと、たいていおどろかれる。 どちらかといえばネガティブな反応。 気の毒そうな顔をぼくに向け、それで? という。 「早く返品したほうがいいんじゃない?」とまでいわれる。 あんまりである。

最新のルンバはプログラム設定で、出かけている間に勝手に掃除をしておいてくれる。 いない間に、毎日だって掃除をしてくれるのだ。 設定時間に合わせて掃除を始め、それぞれの部屋の掃除が終わったあと自動的に充電器のところまで戻るのだ。 普通の掃除機だと1回あたりの電気代は平均22円。 でも、ルンバの場合は1円、毎日掃除をしても年間365円で済む計算だ。 こういうところも地味にうれしい。


▲ あえて掃除機をかけた部屋に、ルンバにもう一度掃除をさせてみました。それでもこんなにゴミが取れました。 とくにじゅうたんでの掃除はすばらしいです。

ちなみにルンバ577*1本体価格は79,800円。
それを、ネットで探して6万円で購入した。

6万円という価格は、掃除機にしては高いかもしんない。
でもぼくは、掃除機が欲しかったのではない。
実用的な「ロボット」が欲しかったのだ。
ロボットにしては、6万円は安いと思う。

残念な点は、ちびきちが怖がること。
ルンバから逃げ回り、離れたところからワンワン吠える。
かわいそうなちびきち。 でもだいじょうぶ。
ルンバはぼくたちが散歩してる間に、掃除してくれるから。

■ 『Roomba(ルンバ)』で部屋を掃除させてみた


壁に当たる瞬間、速度を落としたり、ソファやテーブルの下に潜り込んで掃除をしてくれてます。

次は「アイロンをかけてくれるロボット」の登場をお待ちしてます

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9 件のコメント

  • こんばんわ。

    なんか可愛いですね。お掃除ロボットですか?裏から写すとなんか顔があってブラシの部分が手みたい。

    昔はドラえもんの世界を未来に期待していた時期が僕にもありました。

    今の子供達はどんな未来を期待してんのかな?

    最近の若い子達はすごく現実的な見方しません?

    自分の周りはだけかもしれないけど・・・。

  • 夢があっていいですよね。ロボット。
    こういうの好きで、ゆりかもめに乗って、アシモ君を子供たちと観に行きました。

    なおきんさんのルンバ、顔も身体もないけど、可愛いですね。ひとのものなのに贅沢いうと、足のないR2-D2のような身体が付いてると、もっと親しみがわくのになあ、と(笑)。そういうロボットが、割と近い将来各家庭に登場するようになるんでしょうね。私もお掃除してほし〜い。こういう世の中って全然、悪くないなあ(笑)。

  • 確かにこういうのにロボット感、感じますよね〜
    男のギミックに拘るポイントを擽られますね

    でも、このルンバ、なおきんさんのソファーやテーブルの足の高さを知ってたかのように見事にギリギリ下を通って行きますねぇ〜、可愛いわ〜、

    ちびきちがリンバとジャレてる絵が浮かびます。

  • ルンバが登場した数年前,こんなのを買う時代が来るのかな〜なんて思っていたのですが,最近テレビCMでよく目にするようになり,流行っているのかしらん?と思っていたところへこの記事!ナイスタイミングです。

    一つだけ気になるのは,円盤状ですが,壁と床の接合点によくたまりがちなホコリも吸い取れるのでしょうか??

    タイマー機能がついているのは,かなり魅力的です。

  • ルンバかわいいですねぇ。
    ルンバが動きやすいようにモノを片付けるので
    余計に部屋がキレイになるんだと聞いたことがあります。
    昭和な家の我が家には障害物が多すぎて、ルンバの活躍する場がありません(涙)

    多分、我が家のイヌもルンバを怖がると思います・・・。

  • ルンバ、知人の家にあります。で、掃除してるところを見せてもらって「欲しいな」とは思っているのですが、家人がいい顔をしません。なぜならルンバが掃除しやすいような部屋の中ではないから(←散らかしているのは私(汗))。それで買っても仕方ないだろう・・・という意見です。nokoさんの言うとおり、それで片付けるようになればよいのですが。何がいいって、留守の間に掃除しててくれるのイイですよねー?

  • ルンバ、いいですねぇ。
    丸いから、部屋の隅はお掃除できないのかと思ってました。

    なおきんさんのお部屋は、とっても清潔で美しく片付いていますね。清々しいです。

    ワンちゃんは怖がるんじゃないかなぁ、と思ってたら、やっぱり。びきちくん、そのうち慣れるかなぁ。

    アイロンがけってホントに大変ですよね。
    夏なんて、クーラー入れないと汗だくになっちゃいます。
    ロボット登場が待たれますよね。
    ちょっと動きが複雑で難しそうだから、まだ先なのかなぁ。
    けれど、いろんな技術は、私達の想像の域をはるかに越えて進んでるから、既に開発中だったりするのかもしれませんね。

  • こんばんは、なおきんさん。
    ルンバ、ほしいえす。
    元はといえば。じらいを除去する軍事目的に考えられたものだったんですよね。私もほしいなぁ・・・

  • じさん、一番ゲットおめでとさまです。
    >最近の若い子達はすごく現実的な見方しません?<ぼくもそう思います。なんといってもその貯蓄率がすごい。20代の女の子が老後を心配してますからね〜。現実的というか堅実的というか・・感心するやら呆れるやらです。ルンバなんてきっと浪費にしか思えないんだろうなあ、と。
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    ぱりぱりさん、アシモ君・・。すみません、しりませんでした。
    >「足のないR2-D2のような身体が付いてると・・」<さすがスター・ウオーズ世代ですね。ぼくもそう思いました。でもね、背が高いとソファやベッドの下にもぐって、掃除できなくなっちゃうんです(笑) じゃあ、折衷案でもぐるときだけ円盤型ってとで。
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    コーギー太郎さん、そうそうオトコのギミック。こういうのって奥さんに怒られながら「便利だと思ったのに・・」といい訳しているお父さんが思い浮かんじゃいますね。ちなみにちびきちは逃げ回って、ちっとも慣れてくれません。とほほ。
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    riesenmausさん、そうそう、ぼくも最初この製品を知ったとき「誰が買うんだこんなもん」とか思ってました。実は勤め先の会社がこの会社に投資していて、全世界で販売していることを後で知りました。(社割はないようですが) 「壁と床の接合点」については、想像していたよりとれます。でも完璧ではありません。でも毎日使っているうちにキレイになってました。
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    nokoさん、そうなんです。相乗効果として、床に物を置かなくなる習慣がつきます。埃が出にくい部屋になるのがいいですね。ただ願わくば、この吸引力出もうちょっと小型化できれば、なお利便性がいいんですが。
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    ちぃさん、>「ルンバが掃除しやすいような部屋の中ではないから」< いやあ、まったくそのとおりなんです。ぼくもルンバが掃除しやすいようにだいぶ部屋の中を片づけました。捨てたり、物置にしまったりね。だからルンバ前にすでに片づけられている、なんてことも! 留守中に掃除してくれ、帰宅したらキレイになっているのはなかなか快感です。
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    はてなさん、部屋の隅はたしかに掃除機でしっかりやるよりは粗いです。ただ、週に一度の掃除機掛けより、毎日のルンバがやはりキレイさからいえば上です。要は掃除機かけという煩わしさから開放されること。これがなによりですね。ちびきち、早く慣れてくれ〜。
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    ニモさん、そのとおりです。詳しいですね。地雷除去に協力したり、鉱物の発見に役立ったり、役立ちものです。iRobot社の製品。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。