貧乏ヒマ無しの映画鑑賞

アップルTVが届いた。
10cm四方の立方体のボックス。 8800円。
きれいな化粧箱におさめられた黒い筐体。Apple製品を購入したことのあるひとにはおなじみの、開梱の儀式。 スティーブ・ジョブズは徹底的にユーザー体験にこだわるが、それは製品をパッケージから取り出すシーンも含まれる。 細部にわたるパッケージデザインへのこだわり。 実によく計算されている。 そのことはデスクトップパソコンもiPhoneも、このアップルTVであっても変わらない。 その体験に感動した世界中のアップルファンは、製品の箱を開けて商品を取り出す様子をビデオに撮り、YouTubeなどにアップしている。 他のメーカーの商品ではあまりみられない光景だ。


▲ アップルTV本体と付属のアルミ製リモコン リモコンはmacと共通で使える


▲ ケーブルの巻かれ具合にもアップルのこだわりが感じられる

真四角の小さな本体につなぐケーブルは2本だけ。
コンセントへのびる電源コードと、テレビに繋ぐHDMIケーブル。


HDMIケーブル(別売りなので注意 1800円)


▲ 最近の地デジテレビには標準装備、HDMIポート。これがないとアップルTVに接続できないので注意


▲ ネットワークに接続中の画面. パスワードを入力中

無線LANにもあっさりとつながり、箱を開けてから10分もしないうちにセットアップは終了。 さっそく映画を一本、レンタルすることにした。 400円。 映画は数秒後に始まった。 箱を開けた同じ時間にTSUTAYAに向かえば、いまごろはまだ二子橋の上を歩いていたはずだ。 iPadiPhoneでの配信はいったんダウンロードして再生するが、アップルTVはストリーミング方式なのですぐに再生が始まる。

パソコンやはあってもなくてもいい。
あれば、iTunesに仕込んであるデジカメ写真をスライドショーで見たり、動画を再生することができるが、わざわざそんな事をしなくても十分だ。 アップルTVだけでも、YouTubePodcastインターネットラジオを再生することができる。
テレビで高音質ラジオ。
こうなるともう、ちょっとしたオーディオシステムをテレビ周りに装備したくなってくる。


▲ ラジオ番組を聴いているところ.局数は数えきれないほど

アップルが日本で提供する映画は、20世紀フォックス、パラマウント・ピクチャーズウォルト・ディズニー・スタジオ、ワーナー・ブラザース、ユニバーサル・ピクチャーズの5社に加え、日本国内のアスミック・エース・エンターテインメント、フジテレビ、角川映画、日活、松竹、東映の6社。 残念ながらソニー・ピクチャーズ系列は入っていない。 アップルではなく、プレステ3で観て欲しいというわけか。


▲ ジャンルごとに観たい映画を探すのだけど、検索は要改善. 日本語入力が出来ないのは致命的

日本の勤め人に、平日2時間もテレビの前に座っている時間などない。 それを配慮してか、日本では再生を始めて48時間以内に見終わればいいということになっている。 (米国は24時間) 会社まで片道1時間半かかるのならiPhoneを使って通勤映画鑑賞をしたり、iPadを出張にしのばせ、新幹線や飛行機で鑑賞してもいい。

とはいえ、映画くらいまとまった時間に映画館でのんびり観ればいいじゃないかと思う。 それがぼくの本音だ。 映画とは本来、そのようにあるべきだ。 でも、そうもいかない。 その意味でアップルTVは便利だ。 ソファに座ってテレビで観た映画の続きを、通勤ではiPhone、入浴中とベッドの中ではiPadで楽しむ、という芸当だってできる。 貧乏ヒマなしの映画鑑賞だ。 なにもそこまで・・、と思わないわけでもないが。

ぼくがアップルに期待しているのは、メジャー配給会社の映画だけでなく世界中のマイナー映画や、入手不可能なほど無名、あるいは古い映画をもネットレンタルできる世界の実現だ。 人気作品ばかりが陳列されていても、それじゃTSUTAYAと本質的に変わりない。 世界同時のグローバル展開と、陳列の場所を必要としないオンラインのメリットを活かして、ロングテールな売り場を実現して欲しいと思う。 ぼくはハリウッドなんかじゃなく、ヌーベルバーグのフランス映画や、ソ連時代のリトアニア映画とかが観たいのだ。 それから、自主制作映画も。

映画を観るだけの立場にとどまらず、できれば将来は作品を作る側になりたいと思う。 近い将来、アップルやその他のプラットフォーム運営会社は、アーティストと直接契約をしてダイレクトに自らの作品を販売できるようになるかもしれない。 電子出版やライブ音楽がそうであるように。 つまりデジタル・エンターテイメントの楽市楽座である。 アップルの場合、売上の70%はコンテンツ提供者に支払われる。

世界は悪い方に進んでいるばかりではないとすればありがたい。
いまや日本の人口以上の利用者を抱えるiTunesストア。
そこで映画監督デビューを果たすひとも登場するかもしれない。
それは、あなたかもしれないのだけど。

▼ 本日(11月16日)のアップルのウェッブサイト 

どんな「忘れられない一日」になるんだろう? どきどき・・ちなみに世界同時アナウンスのようです(日本は午前0時)。


▲ と思ったら、AppleサイトもiTunesビートルズ一色になってました!

4 件のコメント

  • しっかりiTunesの広告を載せてますね(笑)。apple製品はiPod以外持たない私ですが、ここの広告はよく見てます(笑)。同じ時に、なおきんさんと同じものに注目していたなんて、ちょっと感動。
    あと、観たい映画を自由に観る環境ができあがるのはいいことだと、私も思っています。あまりに古すぎて、とか、カルトすぎるのか、レンタル屋や図書館でも置いてないビデオ(とっくに無くなっちゃてるし。。)やDVDが結構あって、YouTubeを探しまくる、なんてこともあるので、こちらの方は力を入れてほしいな、と思ってます。それにしても、ソニー系列は入れない、ってか、appleへの対抗姿勢は(その逆も)、消費者への利便性を考えてない企業風土の現れって気がしますねぇ。どうにかしてほしいものだと思います。

  • >アップルサイトの思わせぶりなメッセージ、そのオチは案外ビートルズ?ついに彼らの楽曲がiTunesで購入できるようになった、的な。それじゃちょっと物足りない気がしますね (なおきんさんのプロフから)

    予感的中でしたね(笑)。え?これ?的な。私、これじゃ満足できないわん。期待したのに(笑)。

  • ぱりぱりさん、一番ゲットおめでとさま!
    iTunesに限らず、ここんとこアップルの宣伝ばかりしているような気がします(笑)こうしたエンタメ分野は本来ソニーの得意とするところでしたね。アップル製品がもたらすユーザー体験は、誰かに伝えないわけにはいかないのでした。
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    hiroさん、予想通りビートルズでしたね。たしかにビートルズ楽曲の版権を持つEMIとアップルは骨肉の争いをしていただけに、見事な和解劇だったわけですが、ぼくらに「昨日とは違う一日」といわれてもちょっと・・。というのが正直な感想でした。
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    ぱりぱりさん、二度目コメントありがとさま! そうですね。ぼくはてっきりクラウドiTunesのサービス開始も同時に発表されると思ったんですけど。まあ、ビートルズファンにはたまんなかったでしょうね。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。