ちびきちがやってきてからすでに3年半。
いまでは、
いなかった頃がうまく思い出せないくらいに
あたりまえのようにここにいる。
ぼくが家にいる間は
どんなときにも離れない。
おもちゃをくわえてやってきて
ぼくの足元にポトリとおとす。
遊ぶのに疲れたら、
からだのどこかに頭をくっつけ
まあるくなって眠っている。
まあるく、やわらかで、ほっこりあたたかい。
犬は人より時間がたつのが早い。
こうして一緒に遊んでいても、寝ていても
ちびきちの中に流れている時間は
ぼくの7倍も速く進んでいるのだ。
▲ 子供のころから眠くなると肉球をなめるクセが
やがて、いつしかぼくを追い越し
死んでいってしまうのだろうか。
わかっていたことだ。でも
ちびきちのあどけない目を見ていると
じわっと涙があふれそうになる。
人間の子供では感じることのないせつなさ。
子供は成長し、やがて親の背を超えていくが
親より先に死ぬことはほとんどない。
犬なんて飼うもんじゃないと
いまでも、ときおり思うことがある。
人間の7倍で年老う犬の宿命を
どこかで拒んでいる自分は馬鹿だ。
▲ 狛犬?それともSP?
仕事から帰ると
いくぶん疲れたり、
気分がささくれていたりもするが
自分がきょうも帰ってきてくれたことを
ぴょんぴょん跳ねながら
全身で喜びを表すちびきちをみていると
なんだか気分も和らいで、つい表情がゆるくなる。
だから涙腺だってゆるくなるのだろう。
こんなふうにぼくは、その日に汚れたぶんを
ちびきちに浄化させてもらっているのだと思う。
飼い主たちにそれだけのことを施して
やがて飼い主たちよりも先に逝ってしまう犬たちに
なんだかやるせないほどに、せつなくなって
やっぱり目頭が熱くなるのだ。
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