バガンの馬車(ミャンマー3)

きのう自転車でだいたいの見当をつけたので
今日は馬車をチャーターしてじっくり見てまわることにした。
念のためガイドも雇った。英語が達者なソウさんです。


▲ ガイドのソウさん 顔がすでに大仏である

「こんにちはソウさん、きょうはよろしくね」
「はいはい、バガンの見どころ、ばっちり案内しますです」
「1にちでだいたい何箇所くらい見れるんですか?」
「体力と混み具合にもよるけど20箇所くらいですかね」
「えー、そんなに!」

まるで敏腕営業マンの飛び込み営業なみである。
そんなに走りまわって、馬は大丈夫なんだろうか?

というわけで、こちらは馬車を操る御者のタナカさんです。

「こんにちは、タナカさん」
「・・・・・」

田中さんは顔にビルマ特有のおしろい(タナカ)を塗っているので、ぼくが勝手にそう呼ばせてもらいました。タナカは女性か子供が顔に塗るもので成人男性はあまりみかけない。それと、ちょっと感じが「インパルスの板倉」に似ていなくもない。

「タナカさんと板倉さん、どっちで呼ぶのがいいですか?」
「・・・・・」

というわけで出発進行!(ひひーん!)
今朝から折しも雨。幌全開というわけにはいかず残念。
パカパカと軽快に走る馬車。エンジン全開1馬力である。
ぼくはタナカさんの横、前列に座り、ソウさんは後ろ。
走りながら馬はブリブリーッとうんこをした。
ちょっと下痢気味である。飛沫が風で飛んできそうだ。

1.シュエズィーゴン・パゴダ

バガンを代表する大きなパゴダ。参拝者が絶えないが、花や金箔を売りつけようとするおばちゃんや少女たちが、少々厄介。
風に揺られて風鈴がチリリンと鳴った。

2.タンドーチャ石仏

これは日が暮れなずむ中、恐る恐る中を除いたら中にいた仏像と目があってどっきり!両耳から傘が生えていた。後光の電飾が不気味に光る。ありがたいというよりは、なんか怖かった。

3.ローカナンダー・パゴダ

1059年とわりと古いパゴダ。セイロンから交易船がやってきていたこともありその影響を受けている。

4.ティンローミィンロー寺院

1215年に建てられたバガンを代表する大寺院。というよりヨーロッパの古城のようだ。寺院名の意味は”傘の王”。何とかさの倒れた方の息子を後継者にしたという。


▲ この寺院のわきには戦没された日本軍将兵の慰霊碑がひっそりとある。ミャンマー全土で19万人もの日本人が亡くなった

5.シュエグーチー寺院

1131年の寺院。12世紀の典型的な建て方なのだという。

6.ミィンカバー・パゴダ

結局外から眺めただけだったが、12世紀ごろのパゴダらしい。馬車とのアングルはなんだか開拓時代のアメリカの風景のような気がしないでもない。

7.スラマニ寺院

これも大きな寺院。馬車でここへ向かっていると、なんだか城下町へ近づいているような錯覚を覚えた。1183年、鎌倉幕府が開く10年前に建てられた。


▲ 売られていたおみやげのお面


▲ 寺院の中の4体の仏像のうちのひとつ

8.ダマヤンジー寺院

何かといわくつきの寺院である。敷地面積はバガン一を誇るが、国王は実父や実兄弟を殺してまで即位したため、民衆から嫌われていた。けっきょく建物は未完成のまま、現在に至る。

ちなみに、ここは幽霊が出ることでも有名である。

ここに幽霊が出る。ぼくには見えなかったけど、もっと霊感が強い人は見えるかも?

9.シュエグーチー寺院

1131年に建てられた寺院。アーナンダー寺院によく似ている。

10.アーナンダー寺院

1091年に建てられた威厳のある大寺院。個人的にはもっとも好き。最大かつもっとも美しい寺院として、他の寺院の模範となった。中には大きな立仏陀がある。近くで見ると怒ったように見え、離れてみると微笑んでいる。

11.マハーボディー・パゴダ

塔の部分に仏様が埋めこまれた珍しいパゴダ。壁にもびっしりと。インドのブッダガヤにある寺院を模したと言われる。1215年建設。

12.マヌーハ寺院

囚われの身であったマヌーハ国王が建てた寺院。囚われの身とあって、寺院内の大仏がとても窮屈そうに収められている。


きゅうきゅうと。


修復中の寝仏陀、作業員と比べても顔がでかい

13.ブーパヤー・パゴダ

ミャンマーでもっとも大きな川、エーヤワディーの可岸に立つ円筒形の仏塔。3世紀に建てられたという噂もある。ここに来たとき、ちょうど夕暮れで地元の人達も夕涼みに来ていた。なんだか人恋しくなってしまいました。

あと何箇所か回ったのだけど、記録する気力がなくて省略。
ていうか、これだけのパゴダや寺院を一日で見て回るともうお腹いっぱいである。それよりお茶漬けが・・という気になる。

それにしても驚くべきは、これだけのパゴダや寺院は今だ現役であるということだ。僧侶が参拝し、一般の人々が日常的に参拝する。荒れるいっぽうのパゴダもあれば、多くの寄進により、ますます光り輝く仏塔や仏像がある。
以前行ったカンボジアアンコール・ワットインドネシアのボルブドゥールは違った。同じく11〜13世紀に建てられたが、今は遺跡で仏教徒が参拝している様子もなく、観光名所になっているだけだ。世界遺産には登録されたが、それまでである。

バガンは遺跡ではない。

地震などにより、何度も崩れては修復され、原状回復どころか塔の先にさらに金が貼られるなど、ますます美しくなる。それらの費用は観光局などではない。そこに住み、祈りを捧げるひとびとの寄進によるものだ。

「そうですよね。ソウさん」
「そうなんです。最近の地震は1975年でした。」
「だいぶ壊れたんですよね?」
「私は当時3歳、でもよく覚えてます。砂煙だらけでした」

雨は降り、時にやみ、また降った。
つぶが大きいので、幌にあたってバラバラと音を立てた。
顔や腕は濡れるが、乾いた風ですぐに乾く。がまた濡れる。

「11〜13世紀に建てられたものは簡単に壊れません」
ソウさんとぼくは仏塔に登り、暮れなずむ大地を見下ろす。
「当時の技術者や設計者は素晴らしい技術をもってました」

18〜20世紀ごろに修復したり建てられたものは、たいていさっきの地震で崩れちゃったのだそうだ。

「腕のいい技術者は王様に殺されました」
「自分の建てさせたものよりりっぱな寺院を建てないように」

文化は生むより継ぐが難し、である。

長い記事におつき合いいただきありがとうございました。
この写真の多さが祟って、ミャンマーの通信事情のこともありさんざんトラブルに合間見れることに。結局タイへ移動してからアップ。トラベルはトラブルなり。

馬車でバガンをゆく(動画)


2011年7月19日撮影のものです。馬車で移動する感じが共有できればうれしいです。揺れもまた心地よく、雨が降れば幌をかけ、やめばはずす。そのうち雨に構わずはずしっぱなしにしました。

6 件のコメント

  • こんばんは。

    歴史的な建造物と自然のコラボで神秘的な雰囲気を満喫できました。

    凄く素敵な風景ですね。

    それにしてもハードな旅ですねー。

    お疲れさまです。

    おかげで旅行気分味わえちゃいました。

    今回の記事を拝見して宗教に少し興味がわきました。客観的にですが国が滅んでも「おしえ」はなくならない事に人の本質がかいま見えた感じがしますね。

    「おしえ」が育む心とは一体なんなのでしょうね?

    すべてを許す心かぁ・・。

    ちょっと勉強してみようかな。

    失礼しました。

  • 99.99999%確立で生涯行くことはないと思いますが、なおきんさんからシェアいただいたミャンマーの旅はとても美しく心がこう静かに、波紋が消えていくような印象を受けました。。。と感傷に浸っている時に動画を眺めていると。。。「あっ、あれは」「たらいのせ男!」ぶっ。
    素敵な人生のかけらをシェアいただき、ありがとうございました。

  • 写真が、どれも素敵です
    寺院を取り巻く人々は色々あれど、寺院や仏像には人々の祈り想いを感じます。
    動画も臨場感があり、行ったことのないミャンマーに思いを馳せています

  • じさん、一番ゲットおめでとさまです。
    旅の雰囲気を少しでも共有することができてうれしいです。「おしえ」によってそのひとの「心の拠りどころ」を知ることになるのでしょうか。国に頼れなければブッダに、家族に、自分自身に、と。「祈り」については次号記事に触れてみました。よければそちらも。
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    あんじぇらさん、こんなつまらない人生のひと欠けらをシェアさせてしまってすみません。旅というのは、つい土産話がセットになってしまうもの。加えて臨場感を少しでも出ればと現地更新にこだわってます。今回はその点、苦労しました。これも旅の醍醐味ではありますが。
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    gioさん、ありがとうございます!更新がリアルにできなかったぶん、写真のレタッチに作業時間を割り振ることができました。ベッドの上で、iPadでちょいちょいと。
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    kokoさん、臨場感を感じていただきとてもうれしいです。それこそがぼくの望むことでしたから。写真も一枚一枚ていねいに撮り、調整しました。一眼レフでなくコンパクトデジカメだったけど、大活躍でした。
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    risaさん、旅行中とった写真は800枚前後。デジカメならではですね。フィルムカメラだと、フィルム代と現像料金だけで、3万円を超えますかあね。馬のうなじはタテガミがひらひらして気持よさそうでした。

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    なおきん

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。