大震災直後からちょくちょく発生している募金詐欺。
方法もさまざまあるようだ。
民間ボランティアになりすまし義援金を募るメールを送りつけ、被曝に効果があると奇妙な薬を売りつける。被災者のためにと温泉付き施設の権利を斡旋したり、住宅を修繕してやると法外な契約を迫るケースも発覚。
他人の不幸に便乗した金儲けは古今東西減る由もないが、不幸に遭われなおもダシにされ辛酸をなめさせられる被災者の人たちを思うと、ほんとうに情けない思いでいっぱいになる。
もっとひどい人たちもいる。日本政府だ。
政府よ、おまえもか。である。
震災便乗増税という詐欺がそれだ。
増税といえば、財務省が大蔵省だったころからの悲願。
これまでも、なにかと理由をつけては増税を推進しようと虎視眈々狙っていた。自分たちのムダは恥も外聞もなく棚上げし、国民から手っ取り早く財源を確保する。失うことなく得る方法、それが増税だ。この国や国民よりも、まず省益を優先するエリート集団。それが官僚だが、財務省は特にひどい。大金を扱うと人間は狂うのかもしれない。適応異常もはなはだしい。
震災復興増税
もっともらしいことを言う。
震災復旧・復興費を盛り込んだ総額4兆円の第一次補正予算ですら震災後3ヶ月近くもかけるいっぽうで、円高是正の為替介入では2兆円もの大金を投入してみせた財務省と日銀。震災後わずか1週間の早業であった。
為替介入というと聞こえはいい。円高はとにかく悪いのならば。
だが円高のデメリットはあるところにはあるが、ないところにはない。資源や食料の高騰で他国が苦しめられている情況を鑑みれば、日本は円高のおかげで暴動が起こらなくてすんだ。為替介入などというが、実態はドル国債を買うだけの話。高い円を売って安いドルを買う。普通の逆のことをする。もちろん日本政府は丸損である。他国はそれを「悪い介入」とよび、損をすることはやらない。
国際通貨レートの適正化のために政府が介入するのはもう時代遅れだと、95年以来やめていた為替介入を復活させたのが当時の財務大臣、いまの野田首相である。10年9月、11年3月、11年8月と3回続けてやっている。異例中の異例だ。総額10兆円。
こうして国民の税金がなんの呵責もなく米国債に化ける。介入虚しく対円ドルレートは下がり続け、現時点ですでに50兆円も為替損を出している。とんでもない事実だ。放蕩息子が博打ですったようなもんだ。知っていながらメディアも政府を責めない。いったいこの50兆円はどこに消えたのか。だれの懐に入ったのか?
ともかくこの野田という男、うさん臭い。世界に向かって「日本からカネを出させるのはたやすい」ことを証明してみせた。円高になれば日本はドルを買うぞという前例を残し、安住に大臣を譲る。期待に応えて安住財務相、10月に日銀に命じて為替介入。その額6兆円とも8兆円ともいわれる。本気で円を安くしたいなら輪転機を回せばいい。米国だってそうやっている。しかも過剰に発行されたドルは日本政府がありがたく買い取る。なんだこの仕組は!?
そんな男が首相になったとたん、増税とTPP交渉参加表明。ビンゴである。対米従属どころか、これじゃ隷属だ。小泉首相以来のポチぶりを発揮し、しかし日米首脳会談ではオバマにナメられておしまい。手土産にさしだしたTPP交渉参加表明を、「日本はすべての物品、サービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる」と米国に発表され、やっぱり日本側に交渉主導権がないことがバレた。
国民から金を巻き上げる前に、介入に使われた総額100兆円ものドル国債を切り崩せ、と思う。まず「外貨準備高」というもっともらしい言い方をやめ、米国への上納金だと認める。でないと「保有してしまったドルは売れない」理由を説明できない。もしほんとうに米国より日本が大事なら、増税よりまず上納準備金として積み立てている外貨特会の20兆円。これを震災復興資金に充当すべきではないか。
まだある。
財務省は増税を正当化するために、ギリシャ危機をも使う。
あの瀕死のギリシャですら借金(債務残高)はGDPの110%。対して日本は197%もある!とほのめかす。日本のGDPは500兆円、対して借金は1000兆円というのが根拠だ。テレビのバラエティ番組でとりあげ、芸人たちが「なんだよギリシャよりひでえじゃないか!」と声をうわずらせる。
芸人だけじゃない。天下の日経新聞もそう書く。
ちゃんとバランスシートをみろと、ぼくは思う。
1000兆円のうち、まず200兆円は地方への債権である。借金どころか貸しているお金だ。加えて建設国債が含まれている。これは60年くらいの長期インフラ資産に該当するものだ。つまり他国の条件に合わせれば、赤字国債は390兆円程度しかない。
GDP比率、80%。他の先進諸国と変わらない。
そりゃそうだ。もしほんとう深刻なら日本国債がこれほど低金利である説明がつかない。日本なら借金するのに1%程度の利子で済むが、ギリシャは20%もする。ブラックリストに載り、サラ金しか金を貸さないようなものだ。国の信用度は本来、ここで測るのが正しい。芸人つかって驚かせるのならこっちだ。
さらに国が保有する資産が簿価ベースで650兆円弱もある。
債務390兆円に対し、資産が650兆円。バランス的には余剰である。国際貿易収支も黒字。円高も悪くない。国を企業に例えれば経常(経常利益)率3.6%の黒字決算である。
「赤字国債」部分にしたってギリシャなどは外国に借金を作っているが、日本政府は国民にお金を借りているだけ。借金をしていながら、借り手からさらに税をむしりとる。これが増税の実態。ヤクザだってもう少しおてやわらかだ。
これだけ借金してるんだもの。増税も仕方ないわねえ・・
街頭インタビューで主婦がカメラに向かって答える。
つくづく日本政府はいい国民を持った。
だがその実態を知ればだまってはいない。だがマスコミは官僚のかたをもち、世論誘導だってなんだってする。本来みんなものである電波を国からタダで使わせてもらっているのがテレビ局会社だからだ。官僚に頭があがらない。テレビ局それぞれがもつ新聞社だって事情は同じ。本気で官僚を、時に政府を責められはしない。それでマスコミの何がいったい社会の木鐸だ。
震災募金詐欺の、2億4千倍も悪質であるぞヒロミGO!
いま日本に必要なのは景気回復である。
市場を活性化させ、外国から資金を集めること。
規制緩和をし、金を産ませるインセンティブを作る。
企業に仕事を与え、雇用を促進させることである。
野田政権がやろうとしているのは逆だ。
増税は景気回復にはならず、緊縮経済施策である。
こんなことしていたらますます日本から資金が逃げ出す。企業も金持ちも外国へ逃げ出す。資産フライトは公然と行われ、いいひとたちだが貧乏人、それと老人だらけの国になってしまう。モノはさらに売れなくなる。
株式市場はとても正直だ。増税の噂だけでも株価は下がるが、実際に行われればさらに下がるだろう。下がるだけじゃない。東京株式市場では連日、薄商いばかりが続く。マーケットそのものがシュリンクしているのだ。
日本から金が生まれなくなり、金が逃げ出している。
増税なんて、病人から毛布をはぎ取るようなもんである。
野田政権後、官僚の天下りは減るどころか「官僚の再就職は2年後」という最低限のタガすらはずされた。いまや天下りはなんのおとがめもない。財務省は増税内閣野田のおかげで、思うままに増税に向けつっ走れる。前のめり状態だ。安住財務相なんて国内議論もろくにしないまま、国際会議で「日本は消費税を10%にします」なんてことを言っていた。もう前のめりすぎて、つんのめっちゃっている。
どうか国が国民のためにありますように。
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