3つの「識」

よく「あの人は頭がいい」などという。

どうして? と聞けば
いろんなコトをよく知ってるから、と。

いわゆる「物知りさん」である。
小学生時代は「博士くん」などと呼ばれたかもしれない。
いい学校にも入れ、卒業できた。

知識は、ないよりはあったほうがいい。
だけどネットで簡易に調べられる時代になって、
知識だけの人は存在が薄い。
情報の賞味期限も前より短くなった。

一般論をいうだけなら、何もあなたでなくていい。

ことあるごとに、それっぽく正論を言う。
間違えてはないし、役に立つこともある。
でもいつもそればかりだと
じゃあ、あなたはどう考えてるの? 
と問うてみたくなる。

こういうひとは知識はあっても見識がない。

見識のある人
それは「自分なりの考え方」を持つ人のこと。
得た知識に、自分の考えを加える。解釈できる。
その人なりの考えがあるから、いくぶん存在感はある。
やっぱり知識だけの人とは違って、ご意見番にもなれる。

でも、評論や批評だけのひとになりやすい。
言いっぱなし、ということも多い。

意外と会社に多いタイプかもしれない。
ありがたいやら、迷惑やら、な人だ。

知識もあり、見識もある。
ないよりいいじゃないか。
あなたはそう思うかもしれない。
ぼくもそう思う。ないよりはマシだと。

そのいっぽうで
ある人をぱっと見て「このひと薄いなあ」
と思うことがぼくにはある。
頭髪じゃない。人間性のことだ。

なんというか、修羅場をくぐらず生きてきた感じ。
大きな失敗もせず、攻略本でなんとかなったような人。
言うことは正しいようで、正しくない。
肩書きも立派だけど、なんとなくハリボテな感じ。

サイコロをふれば、1もでれば6もでる。
人生、失敗をせずにすむことはありえない。
唯一、失敗しないとすれば、なにもしないことだ。
サイコロを振らないでいることだ。

チャンスなんていらない、リスクがコワイから。

決断できない人とは、そういう人のことだと思う。
ぼくの考える「草食男子」の定義に近い。
失敗を恐れて行動をしない男子である。

失点の少ない人は、勝負した数もまた少ない。
失点の多い人は、場数を踏み、度胸がすわっている。
修羅場をくぐってきたからだ。人生の猛者である。
ホームランバッターは三振も多いのだ。

「薄いひと」にはそれがない。
知識はあっても、実行力がないから胆識がない。

でも修羅場ばかりの人にも、問題がある。
実行はするのだけれど、伴う見識が足りない。
それはつまり過去のぼくのことだが、
見識ないままにサイコロを振るのは、ただの無謀だ。

そこで、胆識が問われる。

胆識のある人にとって見識は「判断材料」である。
どんな情報が自分には必要で、不必要かフィルタリングできる。

その上で決断し、実行する。
機があれば、判断材料が十分でなくても決断する。
情報量よりタイミングが大事ということも知っている。
勇気も必要だ。愛だって必要かもしれない。

しなくていい苦労をする必要はないとは思う。
だけど、どんな苦労にもちゃんと意味があった。
避けてばかりいて、なんのための人生かと思う。

あの人には胆識がある。
そう言われるような人に、ぼくはなりたい。

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8 件のコメント

  • 「決断できない人とは、そういう人のことだと思う。ぼくの考える「草食男子」の定義に近い。失敗を恐れて行動をしない男子である。」まさにその通りだと思いました!!たかが30歳過ぎたばかりで「もういぃ」とか有り得ません。もっと貪欲に好奇心いっぱいにいろいろ攻めていってほしいのになぁ。。。(笑)

  • たしかに会社にもコメンテーターが多いですね。
    失敗を恐れて実行に移せない、失敗すれば言い訳を探す、さらに失敗を恐れるといったスパイラルに陥っている様な気がします。
    このコメンテーター気質って、議事堂の中にも大勢いませんか?ヤジや指摘するだけなら私でもできそうだと思ってしまう・・・
    私も胆識を積んでいきたいですね。

  • うんうん、って読んでました。何か自分にはこの3拍子揃っている様な 「既視感」 が湧き上がったんです (笑) 。新年早々の白日夢だったのでしょうか?
    度が過ぎると謙遜 (笑) になってしまいそうで、少し嫌味ぽっくなりますかね? おとそも飲んでいないのにこの書きよう、気の迷いの表れかもですね (苦笑) 。

  • そう言う風に分類されない私になりたいです(笑)。
    日本では同じ所にいるのが良しとされてる部分があって結構悩ましいですけど、今は吹っ切れています。
    色んな職場を体験して来た後悔は無いです。 他人と違うことが生かされてるという実感を感じます。 めげないでいられることは何と幸せだろう!と思っています。

  • 多くの失敗や過ちを許されて初めて「愛」を知りました。
    大きな愛に守られると勇気が湧いてくる。
    だから決断、実行を迫られたら愛も必要かな、と。
    知識も見識もない私、恥ずかしながら「胆識」という言葉を知りませんでした。
    意味が深いですね、じっくり考えたいと思います。(たまには)

  • 子供が生まれるタイミングで正社員だった仕事を辞めて嘱託職員と非常勤のダブルワーク、その後、正社員の仕事に復帰するも3か月で離職し、嘱託職員に戻る。
    ある意味、無謀な動きなのですが、やりたい仕事、興味のある仕事を目指した結果なんです。
    でももっと胆識ある実行力を身につけないといけませんね。
    今年の目標、というより今後の目標として掲げていきたいものです。

  • 胆識って言葉、初めて知りましたが、胆が据わってがんがん決断してくれそうな感じでいいですね。
    胆識、ほしいです。全然足りていないので。
    ついでに胆識のある人も会社にほしいです。
    これまで会社でご一緒して、胆識があると思われたのはすべて40歳以上の様々な職場や立場を経験してこられた方でした。あと海外にも滞在されたことのある方は最強。私が雇うならそれを条件にしようかと思うくらいです。でもそんな方も日本で就職するには年齢を理由に門前払いが多かったとのことで、納得がいきません。
    ところで、ふとプロフィールをぽちっとしたら「ユーザー登録から本日までに日記をつけた日数:1000日」って出てました。
    東京での記事1000回ってことでしょうか?
    おめでとうございます!\(^o^)/

  • siusiumaoさん、一番ゲットおめでと様です!
    もっと攻めてー!ですよね。でも、考えてみればぼくもなかなか告るのに勇気を振り絞ってました。なかなか好きな人が出来なかったから、時たまできると、下手に告って振られたりなんかしたら、立ち直れない。みたいな。ある日、とつぜん吹っ切れましたけど。
    ———————-
    おととさん、
    やっぱり責任逃れ的な態度をとりがちですよね。「あいつのほうがもっとひどかった」みたいに、自分の失敗を相対化してみたり。再就職が難しくなって、余計他人に対して独善的であろうとする人たちが増えた気がします。気のせいかもしれませんが。
    ———————-
    昔の同僚さん、
    そうですね。3秒し揃っていますね。ていうか、思う前に実行するタイプでしたもんね。フットワークの軽い人だなあ、と思ってました。重そうに見えるのに(笑)密かに尊敬してましたよ。
    ———————-
    たまやんさん、
    ユニークでいたい、というのはひとつのあり方ですね。自我が発達している人は、たいてい他人と違うことを選択しがちです。それで損をすることはあるかもしれないけど、それをむしろバネに出来る人はそれはそれですごいと思いますので。
    ———————-
    risaさん、
    なんかステキなコメントをありがと様でした。愛と勇気、いい言葉です。どっちも必要です。いや、全てはこれじゃないかと思うほどに。ぜひ、胆識を身につけてください。陽明学の言葉なので、あまり知られていない単語かもしれませんね。
    ———————-
    mu_ne_2さん、
    そういう自分に妥協しない生き方はステキだと思いますよ。日本ではまわりと同じように生きるスタイルのほうが過ごしやすいけど、自分をごまかしちゃうことにもなりかねません。自分をごまかす人って、たいてい他人にもごまかそうとする。どうか頑張って!
    ———————-
    どらみっちょさん、
    決断する、決行する、というのは他の選択肢を捨てるわけですから、それなりに勇気のいることです。肝が座ってないと「失ったもの」にいつまでも未練を持っちゃう。胆識の無い上司ってのは、ホント始末が悪かったりしますね。1000記事にエールを送って頂きありがとうございました。これからもがんばります。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。