デフレ対策と2.26事件

2.26事件。
これを知らない日本人はほとんどいないだろうけど、襲撃され殺された人物のひとりに、高橋是清(たかはしこれきよ)大蔵大臣がいることを知らなかった人はいるかもしれない。ではなぜ、高橋是清は殺されたかのか?

答えは「軍事費の削減をしようとしたから」だ。
それで軍部の恨みを買い、襲撃ターゲットにされた。そもそも軍事費削減はインフレ対策の一環であった。彼を殺した青年将校たちは処罰されたが、高橋是清を失った日本はこの日を境に軍事費の膨張に歯止めが効かなくなり、インフレは増大した。経済はとうにひっぱくしていたが、さらなる閉塞感が国を支配した。それでどうなったかは、歴史の知るところである。

高橋是清の功績はなんといっても「経済政策」である。1923年の関東大震災後に起こったデフレを収束させ、1929年の世界大恐慌のあおりをうけた昭和大恐慌によるデフレを収束させた。とくに後者のデフレは、いま日本を襲っているデフレより深刻であった。

ではどうやって収束させたか?
日銀にフル稼働で紙幣を剃らせ、国債を引き受けさせた。そして公共事業などで政府支出を増大させた。つまりマネタリーベースを増やし、リフレーション政策を敢行した。デフレなのに緊縮財政と産業合理化ばかりする政策を改め、タイミングよくデフレ対策をやった。【写真は高橋是清

デフレの時にはデフレ対策をやり、インフレの時にはインフレ対策をやる。高橋是清はあたり前のことをあたり前にやって日本を救った、または救おうとしたのだ。

バブルはじけて20年が経つ今の日本。
デフレなのに「インフレになるから」とデフレ対策を拒む日銀をどうすることも出来ず、ずるずると策を打てずにいた。あげく「少子化と人口減少が原因だ」と、まるでデフレを日本の宿命のように言う学者が支持され、なにが正しいのかわからず迷走した。日銀に策を強制できなくなったのは、97年ノーパンしゃぶしゃぶ事件をきっかけに大蔵省から金融庁が独立し、98年以降はほぼ独裁体制になったことが一因だ(詳しくは2012年10月22日の記事『ノーパンしゃぶしゃぶ』をみてね)。 これを見なおそうというのがこの度の策である。日銀はあまりにも権力を持ちすぎ、それが仇となったのだから。

安倍さんが優先着手する経済政策。
この政権は久しぶりに期待できそうだが、目玉はやはり日銀法改正の見直しである。いまの不況の原因はデフレ。ならばデフレ対策をやる。あらかじめ決めておいたインフレ目標に達したらデフレ策を止め、それよりもインフレ率が上昇したら今度はインフレ抑制の対策をする。消費増税もインフレ抑制の施策でなら理にかなう。

「日銀の国債引き受けは禁じ手だ」などと言われるまま発言していた前政権。「前例がない」とまで言う議員もいて、中学生からやり直せと思ったこともある。やるべき経済政策を邪魔したという意味では、2.26事件の首謀者なみに罪深い。

キーワードは「日銀法改正の見直し」。
まずこのことを覚えていて欲しい。周辺諸国の一部勢力はスパイやこれに牛耳られたマスコミをつかい、実現しないよう阻止してくるだろう。彼らにとって日本経済大国の復活は政治的になにかと不都合が多い。呼応する新聞社の紙面から「日銀法」が意図的に隠されるおそれもある。

安倍さんは本人も認めているとおりマスコミから嫌われている。ぼくが安倍さんを信頼しているのは、そのこともある。まともなことをやる政治家をマスコミはその力でほとんどつぶしてきた。「マスコミの敵は庶民の味方」でもあるのだ。


中日新聞12月27日の紙面。メジャー新聞とは思えないほどのラクガキぶり。ここまで嫌われば、それだけ期待できるということだ

ただ気がかりなのは暗殺テロ。外国人団体などによる「殺害予告」を昨年末から70件以上も受けている。これに対し米CIAまでが警告を発し、警視庁公安部はすでに動いているはずが、何の不都合か、マスコミは一切これを報道しない。


▲ 安倍さんへの殺人予告については、ごく一部の年間購読誌のみ報道された

日本を取り戻す
この意味は思いのほか、深い。
いったい誰に乗っ取られていたのか、
10年前より、だいぶわかりやすくなった。

5 件のコメント

  • こんにちは。

    高橋是清さん、日本人らしい良い顔立ちをしていますね。

    チョイスした写真も良いのでしょうけど(・∀・)

    経済緩和政策はタイミングとバランス、ケースバイケースでしがらみにとらわれず合理的にやってくれれば日本復興は間違いないでしょう。

    それにしても民主党が政権を握ったおかげで日本国民の一部の人は目が醒めたでしょうし旧自民党内部の古い考え方の人達が一線を退いた事で新しい自民党が誕生したのは嬉しいですね。

    それにしても安倍総理へのネガキャンは品性の欠片すらない目を耳を疑いたくなるような物が多いですねぇ。

    こんなことをやっているからマスコミは信頼を損ない自滅していくと分からないのでしょうか?

    ともあれ安倍政権が任期を全うして競争力のある日本を取り戻し、今まで見えなかった事が表沙汰になり日本人による日本が新たに構築されることを願います。

    またまだ長い道のり、注視して見守って判断していきます。

    失礼しました。

  • 再び「じ」さんの次にコメントします。考えは違うのですが、反応するところは似てますねえ。
    2.26事件。まだ見ていませんが映画にもなっていましたね。この記事を見て、5.15と2.26について軽く見返してみましたが、当時の軍の不穏な空気が伝わってくるようです。先に起きた海軍の5.15などは、首相官邸に踏み込んで総理大臣を殺害という重大事件にも関わらず、関係者の処罰は随分と甘かったようで。当時の政治家にとっては、相当なプレッシャーになった事でしょう。
    そして2.26。昭和天皇の意思も政府の意図も無視して、陸軍が満州事変を起こし、傀儡国家を作り、中国北部にまで手を伸ばしていた時期。こんな時に、これ程の事件が起きれば、その後の政府が陸軍を統制出来なくなったのもうなずけます。(政府の不拡大方針を無視して、中国との全面戦争へ。)事件当初の軍上層部の反応も、同情的で「反乱」と扱っていなかったとのこと。昭和天皇が毅然とした態度で「反乱鎮圧」を命じていなければ、この事件も軽い処罰で済まされてしまったかもしれません。いやはや、何と恐ろしい世相か。

    で、肝心の経済のお話ですが、安倍首相の意向で竹中平蔵さんが起用されたとの事。私はもう4年間、テレビ無し生活を続けているのでマスメディアの影響は少ないはずですが、非常に不安です。派遣業法の改正のおかげで、簡単に首切りができるようになり、いつぞやの大量の派遣切りに。独立採算できていて、コストがかからず、しかも税収源だった郵政事業民営化。インフラの維持整備団体なのに民営化した道路公団。汚職や腐敗はあったのかもしれませんが、他にやり方は無かったのかと言いたくなる上の三つ。それを進めた竹中さんを産業競争力会議に、とは。

    私は、小泉首相時代に、人口1000人も無い北海道の片田舎で暮らしていましたが、市町村合併のせいで役所が遠くなる、郵政民営化の影響で、雑貨屋と兼業だった簡易郵便局が無くなる、と、近所のお年寄りが大変困っていたのを思い出します。(お年寄りは、通販で振り込みを利用するケースが多く、田舎すぎて銀行も無かったので。)当時のマスコミは地方切り捨てと言っていましたが、まさにその通りだと実感し、怒りを感じていました。
    なので小泉元首相と近かった安倍さんだけに、不安を感じています。頼むから、あの時代の再来だけは止めてくれよ…!
    長くなり、すみません。

  • 「当たり前のことを当たり前にやる」っていう言葉は重かったです。
     自民党が選挙に勝った直後から、ニュースや新聞を見るのをやめてしまったんですよ。こんなことは初めてですが、もちろん社会とともに生きるしかないというのが人間に与えられた性だとも思いますので、それにたいする否の考え方もあってしかるべきとはおもったのですが、なぜか僕にとっては、自民党が勝ちを得たことが、むしろ社会から自分をもっと切り離して、自分の生き方のようなものを、自分の中のもう一人、あるいは二人、あるいはひもっといるかもしれない「自分」との対話を深める契機になったような気がしています。。。わけわからないことを書いていますが・・・。2013年をそんな一年にしてみてもよいかもしれないと感じています。
     きっと、そういう時期なのかもしれません。

  • 先日テレビを見ていますと、おそらく東京では放映されていない読売テレビの『そこまで言って委員会』という番組に総理大臣就任後の安倍信三さんが出演していました。その際に「日銀法」のことにも触れており、それをもとに今後の経済再生等を行っていくとの見解を示していたと思います。実際の行動がどこまで伴うのかはわかりませんが、地方ローカルとはいえ、それを大まかに口にしたことは意義のあることだったのかなと思ったりしています。
    ただ自民党政権に戻り、経済が活性化していくような気配はありますが、民主党に比べ『マシ』という考えからなのか、企業団体が『(過去の)やりやすさ』を思い出しているからなのか、どの側面からなのだろうという疑問があります。
    自民党は「今までの自民党ではない」と言っており、経団連等は「過去の自民党政権下のやりやすさ」を期待しているかもしれず、そこにずれが生じたら「期待はずれ」と勝手を言いそうで怖い気もします。
    マスコミは現政権さえ例え重箱の隅であっても非難しておけば、「政権を監視している」気になるのでしょうし・・・。
    色んな動きを国民自ら多角的に考えるようにしていかなきゃなのでしょうね。

  • じさん、一番ゲットおめでとさまです。
    ぼくらは自然と大新聞やテレビの情報が由緒正しいものだと思い込んでいたのを、案外そうではないとじわじわと気付き始めたという感じですね。諸悪の根源は記者クラブ。日銀と財務省の御用記者による世論誘導が、日本を成長から遠ざけている要因でもあります。このあたりはまた記事にしてアップしますね。
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    楽庵さん、
    小泉政権の郵政民営化については、ひどいものでした。いったい米国にどこまでおもねるんだろうと心配でした。安倍さんは首相を降りたあと、実に努力されてました。とくに経済政策の部分では相当勉強されてます。タカ派などといわれていますが、不況の原因はデフレで、デフレの元凶は日銀だということを見抜き、万難廃してここにメスを入れようとする姿は、まさに「我が意を得たり!」で応援したいです。竹中さんは不安視されていますが、あくまでも委員会の一人、たいしたことはないとぼくはみています。個人的にもあまり好きなタイプじゃないですが。
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    たいさん、
    「もう国には頼れない」という感じなのですね。わかります。ぼくもパスポート以外、日本に頼らない生活を四半世紀やってましたから。自分との対話を深めるのはすごくいいと思います。組織に頼らない生き方、「ナリワイ」を見つけ身につける一年であってもよいかもしれませんね。
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    mu_ne_2さん、
    97年以降、歴代の総理大臣があそこまで日銀に対して強く出たことはおそらくないでしょう。安倍さんにはそれなりの後ろ盾があるとみます。日銀の独裁ぶりはアンタッチャブルなところがありましたからね。自民党についてはおっしゃるとおり、民主党の低落によるコントラストが大きいからよく見えるのかどうか、しっかりリテラシーを持って見張っていきたいですね。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。