パワポなんていらない

ここ10年くらい、プレゼンといえばパワポ*1が使われる。

パソコンスライドショーといわれる電気紙しばい。
正直いうと、ぼくはこれが嫌いである。
一緒に仕事をしたことがある人は意外に思うかもしんない。
ぼくこそは誰よりもパワポを使ってきたA級戦犯であるからだ。
プレゼンやセミナー自体は、それこそ
パワポがまだ世にないころからやっていた。
ぼくが人前でプレゼンをやり始めたのは1991年頃。
当時はハーバードグラフィックスというソフトを使っていた。
このソフト、なんとWindowsよりも古くからある。

1990年初頭でプレゼンといえばOHP。 または白版。
そんな時代に、パソコンを会場に持ち込み、
プロジェクターに接続してスクリーンに映す
なんてことをやっていたのはIBMなどごく一部のIT会社
当然、めずらしがられた。 それゆえ注目はされた。
プロジェクターは安いものでも100万円以上したのだ。

いまはどうか?

会場の眠気を誘うだけである。

欧米と日本のプレゼンスライドの大きな違いは、
日本のそれは1スライドあたりの文字数が多すぎること。
これじゃ聴衆の目は文字を追うことに夢中になり、
発言者のはなしなど、聞く余裕がない。 顔も見ない。

おまけに画面と同じものを印刷して配布してしまっている。
明かりを落としたプレゼン会場で、これを読めというのか?
ますます聞けない、発言者の顔もますます見ない。
これなら足を運ばずとも資料送付だけですむんじゃないか。

パワポなんてものがないころのプレゼンは
まるで「寄席」のようだった。 話芸の世界だ。
OHPか白版には、図や表だけが表示される。
「資料はあとで配りますからメモは必要ないです」
プレゼンテーターはそういって、自分の話に集中させた。
道具に頼らないぶん、生身で勝負していた。

パワポを使えば、誰でもそこそこの資料が作れる。
残念なのは、資料とプレゼンの質が比例しないことだ。

会場や会議室にいるひとは、
おそらくパワポを読みに来たはずではないはずだ。

ひとは道具を使うとき、知らず知らずに
それを使うことが目的になってしまうことがある。
本人はそれでもいいかもしんないけど、
聞かされるほうはたまらない。
眠気と闘うのに一苦労だからだ。
だいいち、目的はパワポの鑑賞ではない。

たとえそれが丸一日かけて作られた資料だとしても。

そうそう、「事業内で最も使われるソフトがパワポ」という場合
その事業は間違いなく儲かっていません。
つぶれた事業の、ほとんどはそうだったから。

経験者が言うんだから間違いない、というのが悲しい

■ 動画で見るちびきちのすきなこと(音が出るので会社では注意ね)

わーい、ボールだ、ボールだ! (いったいそれの何が楽しいんだろう?)

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*1:パワポ = マイクロソフト製プレゼンソフト、パワーポイント(PowerPoint)の略語

11 件のコメント

  • 判ります〜
    プレゼンターも、自分の話術(内容)に自信が無いもんだから、本人ずっとスクリーンを見っぱなしで聴衆のリアクションを全く見なかったり。
    社内の会議の場合は最悪です。極論ですが、プレゼン研修に、落語を取り入れるべきですよね。

  • おはようございます なおきんさんandちびきち君
    私にとってタイムリーな記事をありがとうございます。
    現在、ちょっとだけ学生していまして、もうすぐ授業の課題のプレゼンがあるので頭を悩ませていた所です。
    話術のない私は、文字に頼ろうとしていましたが…
    すっきりしたプレゼンで聞いている人も楽しんでもらえるような内容にしていきたいと思います。
    いつもながら…ためになります。
    所で…ちびきち君の動画が見られないです。私だけ??

  • ちびきちくん、かわいいー!!徐々に、後ずさりで距離
    を取っていくのがつぼです!
    パワーポイントは、海外でも多いですね。カラー多色使い
    で内容以外のところに気がいってしまいます。

  • あははは。動画の最後の「バーン!」て打たれて、びっくりしたチビキチ君が倒れちゃうのが可愛い♪

    パワポ、個人的にはあまり好きではありませんが、それを使わないと不安がる生徒がいるのもまた事実(人の話を聞きながらメモを取ることができないため)。なかなか難しいですね。。。

  • 大學の先生でもパワーポイントを使う先生がいるけど、私はあまり好きではありません。パワーポイントをそのままプリントしたものを配って、ノートを取らせないのだけド、ノートを取ることによって覚えることってあるでしょ?生物の先生は『みんな自分の手を使って書き写すことで、覚えられるから。』って言って、黒板にみっちり書き込みをしてくれました。印刷をさっと見るだけでは絶対に頭に入らないなって思います。
    プレゼンテーションはスピーチの能力が必要ですよね?パワーポイントを使っても、頼りすぎなければ良いですよね?

  • こんにちわん。
    私も仕事でパワポ使います。作る時自分が説明できる範囲内にワンスライドを作るように気をつけています。話す時は、皆さんの目を見て話すように心がけています。あと、眠くならないように質問したり、つまんないけど冗談言うように?しています。なおきんさんが、言われるようにパワポを見に来たようだと感じさせないように、もっと努力しましょうと思いました。うまく使いこなせば、いいTOOLだと思います。チビキチちゃん、バン!って倒れる!凄い!私の、わんこちゃんは、やっとお変わりができるようになっただけなのに・・・どうやったらいいのでしょ?

  • 私の仕事では、パワポは使わなくてわからないのですが…
    ちょうど昨日、「道具に頼りすぎは良くないんだろうなぁ」と思っていたので、タイムリーな記事でした。

    東急ハンズに買い物に行ったついでにいろいろ見ていたら、本当にたくさんの道具があるんだなぁと感心してしまいました。
    お米を「洗う」道具やら、お米が零れるのを防ぐ道具、…あれこれ。一見、便利そうだけれど、そんな道具がなくても上手くできるようになったほうがいいのになぁ、そのうち邪魔になるだけじゃないのかなぁ、と思えるものもたくさんあったのです。
    目的と手段がいつの間に入れ替わってくるような。そんなふうに感じました。
    なので、パワポは使ったことも、たぶん見たこともない私ですが、なおきんさんの言われること、わかる気がします。

    ちびきちくん、らぶりぃ〜!
    なおきんさんに忠実であろうとする姿勢が、可愛すぎます♪
    ひっかかって後ろは見たけど、ひっかからないよう、ってちゃんとボールまだ手に持ってるなおきんさんを見るところも、次第に後ろに下がるところも、倒れるところも、愛らしいです。
    ちびきちくんも、ボール離さないんですね(笑)
    うちの愛犬もですよ〜。
    動画、何度も見ちゃってます♪
    はまってます♪
    なおきんさん、ありがとうです。
    (^O^)

  • 学会または、研修でパワポのお世話になっております。
    パワポを見てると催眠術にかけられたかのように眠くなります。
    おまけに、メモをとろうと頑張るけど暗くて目が悪くなっちゃいそう。
    最悪なときは、室内の電気を中途半端に消されているとスクリーンが見づらい。

    黒板に書くか、模造紙に書いて発表したらどうでしょう。
    パソコンばかりだと、漢字を忘れてどんどん脳が退化する。

    そのうち職場から家に帰れなくなったりして(泣)

  • Regainさん、一番ゲットおめでとさまです!
    ある意味「誰もがプレゼンできる」ツールなだけに、「こいつはぜったいプレゼンテーターなどという柄じゃない」ような人もすることになるんだと思います。落語を教材にするってのはぼくも賛成です(笑)
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    Hami★さん、おひさしぶりです!へえ、そうでしたか社会人学生されてたんですね。 プレゼンのスライドはトークスクリプトじゃないですからね。そうならないよう、気をつけましょうね。AppleのCEO、スティーブジョブズのプレゼンを参考にしてみましょう。
    http://www.youtube.com/watch?v=OBhYxj2SvRI&feature=related
    ——————————
    さえぴーさん、あはは、少しでも早くとろうとああやって後ずさりするんです。欧米のプレゼン資料は、あまり枠線を使わず、色も同系色でそろえるケースが多くないですか? 目が疲れないのでいいですね。
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    riesenmausさん、そうそう、「バーン!」はちびきちの得意技です。「よし!」と言うまで動かないでいるはずなんですが、このビデオではタイミングが少し早いですね。さて、スライドショー中にメモを取るのは日本人に多いですね。やはり学生時代のクセでしょうか。
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    ぷうさん、そうそう、そのとおり。ノートを取るのも学習のうちですからね。 プレゼンはスピーチが7:資料が3。上手に間を取り沈黙することで、聴衆が咀嚼する時間を与えることも忘れないようにしたいものですね。
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    まるさん、プレゼンのご経験がひととおりあるようですね。頼もしいです。やっぱりオーディエンスたちの記憶にどれだけ内容を残せるか、ですよね? ちびきちの「ばーん!」は実は幼稚園の先生がしつけてくれました。だからぼくはわからないのです。ごめんなさいね。
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    外食産業の裏側の管理人さん、あはは、ありそうなエピソードですよね。でも、使えなければ使わないでよかったのかもしんないですけど。昔ながらの方法で極めているなら、それでいいとぼくは思います。
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    はてなさん、道具はその依存性において薬にも毒にもなると思います。「便利なものが増えた」ということはそのぶん「人間の技量や才量が減った」のかもしれませんね。ちびきちビデオ、なんども見てくれてありがとさま! BGMの選択もずいぶん気合いを入れてみました。著作権が明らかなものを選ぶとYouTube側から「公開できません」って言われちゃうんです。
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    すーさん、ははは、やっぱりそうですかー。パワポ睡眠。 なんというかもう少し工夫が欲しいですね。 スライドはBGVくらいのものにして、話し手の演出効果くらいでいいのかもしんないです。 IBMのときの先輩はそこんとこがホント上手でした。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。