元来「出たとこ勝負」が好きなタチである。
アリとキリギリスを人に例えれば、ぼくは間違いなく後者のほうにちがいない。わりと早い時期から、ふつうに大人になって毎日毎日同じことを繰り返しながらコツコツ働き、定年になって縁側でぼおーっと盆栽を眺めながら死ぬなんて、絶対にイヤだと思っていた。でも昭和の時代ならともかく、平成においてはそんなふうな人生を送れるのはむしろ幸せなほうかもしれないけれど。
自分はどっちのタイプか?
ひとつの偏見として思い浮かべるのが「修学旅行」。あれが楽しかった人は、たぶんパッケージツアーのような人生が性に合っているし、楽しめなかった人はバックパッカーのような人生が向いているような気がする。
ぼくは特に協調性や社交性がないわけじゃないとは思うけど、みんなで同じ乗り物に乗って移動し、同じものを見て感動し、同じものを食べ、同じ風呂に入り、同じ部屋で寝る、というのがものすごく嫌いだということを修学旅行を通じて知った。絶対ムリだと思った。
とことん集団行動になじめない。
ぼくが修学旅行で学んだのはそのことだった。
とても寂しがり屋で、誰かがそばに居てくれないと落ち着かないタイプではあるのだけど、なぜか旅においては「出たとこ勝負好き」がむくむくと頭をもたげる。行きたいところを自分で決め、苦労してそこへ行くというのが個人的には好きなのだ。
サラリーマンという集団行動も、考えようによってはパッケージツアーに近いものがある。組織というのは盾にも矛にもなる。それをメリットと考えている人のほうが日本に多いのは、労働人口に占めるサラリーマンの割合でわかる。平成元年には7割だったサラリーマン、今ではさらに8割まで増えた。8割というのは世界でもダントツである。
その意味では
恒例となった「出たとこ勝負のひとり旅」も
キリギリスにとっては息つぎのようなものかもしれない。
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