宇宙人

宇宙人といえば、あれだ。
小型のサルのような光沢のある小さな宇宙人。トレンチコートを着た二人の男に挟まれ、両腕をつかまれた有名な写真。宇宙人と聞いてまっさきに思い浮かぶのは、あの宇宙人である。

テレビのミステリー特集か何かでみたのだろう。まだ小学生にもなっていなかったかもしれない。同じころウルトラセブンをやっていた記憶も併せ持つ。なんとか星人などという宇宙から来た怪獣がたくさん登場していた。だけど宇宙人なんかぜんぶ嘘だ。ただ唯一、あの小人を除いては。などと思っていた。オトンの受け売りであった。

どんなに恐ろしかったことだろう。
と幼いぼくは想像する。謎の宇宙人を恐ろしがる代わりに、宇宙人に強く同情した。円盤が不時着したその星にはこれまでみたことのない風景が広がり、変わった感じの空気がある。「もう家に帰れないかもしれない」と、ただでさえ不安なところへ、おかしなカッコをした野蛮人(人間のことだ)に見つかり、捕まってしまう。ぐいっと両腕をつかまれ、不安そうに仰ぎ見れば、自分を見下ろす顔のなんとオソロシイことか。古い写真のせいか、後ろのおばさんなんてなんだか亡霊のようにみえる。


▲ 「小人宇宙人」の写真

宇宙人にしてみれば、もう不安で不安でやりきれないはずだ。これからなにをされるのか。おなかを切って内蔵をのぞかれちゃうのか?はたまた見世物小屋に売られるのか?腕からポリポリと食べられちゃうかもしれない? 見知らぬ土地、というか星。人類という名のバケモノ。デカいし臭い。それがうじゃうじゃいる。ああ、自分の星に帰りたい。やさしい両親の、恋人の、いやもしかしたら結婚して子供がいるかもしれない。子供に逢いたい。元気だろうか?お父さんがいなくなって、きっと寂しい思いをしているに違いない。

ちびきちは、大きくて太った女性を見るたびに吠える。はじめて連れて行かれた病院のスタッフがそんな体躯だったからだ。診察台の上で動かないようガシッと掴まれ、よほど恐ろしかったのか、これまで聞いたことのない声をだして鳴いた。以来トラウマ。そんなちびきちなら、あの宇宙人の気持ちがよくわかるに違いない。

なのにあの宇宙人がニセモノだといまさら言われても困る。

ハロウイーンちびきち

あくまくん

4 件のコメント

  • 興味津々で読みました!
    楽しい♪

    宇宙人が絶対いると思ってる私、メルヘンチックだとか言われますます。

    この広い宇宙で、人間しか知的生物がいないとしたら、そっちのほうがよほど非科学的でメルヘンチック。
    そんなふうに子供の頃からそう思ってます。

    あの宇宙人、嘘だったんですか?
    それはびっくり!

  • やはり嘘だったのですね・・・なんか、残念というか、切ないですね・・・。
    最近、一つの物語を別の方向から見て考えるというのを目にしたり、耳にしたりします。尾崎豊さんの歌の歌詞「盗んだバイクで走りだす」に対し「買ったばかりのバイクを盗まれた」と被害者側を想定した歌を聴いたり、2013年度:新聞広告クリエーティブコンテストの最優秀賞が「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました」というコピーを使っていました。
    ユニークだと思う反面、一方的なものの見方をしないように気をつけなければとも感じたりしました。
    故・やなせたかしさんが、絶対的な正義とは何かを考えた結果「あんぱんまん」が誕生したという話も納得しちゃいましたし、バイキンマンの存在意義の話を聞いた時も感心しちゃいました。双方の立場を考えての認め合い、成立するって、凄いことですね。
    なんか、いつもながら話がそれてしまいました。すみません。

  • はてなさん、一番ゲットおめでとさまです!
    そうそう嘘だったんです。ドイツのメディアによるしかもエイプリルフールの。写真が古いとなんだか本物に見えちゃうものですね。ぼくはよく、自分が宇宙の何処かの惑星で迷子になったらどうしよう?とそればかり心配してました。どうでもいいことを心配して、よく不思議られてましたけど。
    ―――――――――――――――
    mu_ne_2さん、
    ねえ、ちょっと残念でしたね。嘘だっただなんて。故・やなせたかせさんの「あんぱんまん」の由来も、ちょっといい話ですね。顔の一部を食べさせてあげるヒーローなんて、ちょっと他国では生まれなさそうです。り、2013年度:新聞広告クリエーティブコンテストの最優秀賞が「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました」というコピー、知りませんでしたがおもしろい!

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    なおきん

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。