ラクガキBAR

f:id:naokin_tokyo:20140627224614j:plain

 

子供時代、もっともしていたいたずらはラクガキである。オカンによれば、家じゅう、ぼくのラクガキだらけだったという。ふすま、たたみ、れいぞう庫・・・。どれほど叱ってもラクガキするので、さんざん手を焼いたそうだ。あげく、オトンなどは「あとで消すか、白く塗ればいい」と、逆にオカンをたしなめたていたそうである。

小学校においてもそうで、気の毒な先生はまず黒板消しでぼくのラクガキを消してから授業を始めねばならなかった。教科書の余白はたいていラクガキで埋められていた。とくに歴史の教科書は、登場人物のほとんどはラクガキによって凌辱され、クラスの友だちに笑われていた。笑われていたのはあるいはぼく自身だったのかもしれないが。

ラクガキはラクガキのままである。
オトンなどは、将来この子は絵を描く仕事について有名になるのでは?と期待したふしもあったようだけど、もちろんそうはならず、自分たちも親バカのひとりと思い知るだけであった。

銀座のどまんなかに「童心に戻れる場所がある」と案内されたのは、建ったばかりの雑居ビルの7Fにある「GINZA RAKUGAKI Cafe & Bar」。文具メーカーのぺんてるが主催・運営している。

f:id:naokin_tokyo:20140627212731j:plain

 ぼくたち3人はBarにしては明るい店内のテーブル席に案内され、飲み物のメニューより先に、まず筆記道具の説明を受ける。壁、床、机、柱・・店内のあらゆる場所にこれらのペンでラクガキしていいという。「いい」と言われるより先に、ペンを持って立ち上がり、さっそくラクガキをはじめたのはもちろんのこと、運ばれたカクテルの氷の色に気分も色めく。

 

f:id:naokin_tokyo:20140627214432j:plain

▲さっそく書き始めるなおきん

f:id:naokin_tokyo:20140627214642j:plain

▲その日はちびきちの誕生日だったので

 

f:id:naokin_tokyo:20140627221751j:plain

 ▲床にも描いたよ さっそくふまれたけどね

 

メニューもいちいち凝っている。フレンチフライをたのめばパレットふうにあしらわれ、ラクガキだらけのテーブルにのった。「このブルーは何ですか?」と店の人に訊けば「ブルーキュラソーです」という答え。色を揃えるにはポテトにブルーキュラソーもアリなのだ。

 

f:id:naokin_tokyo:20140627221902j:plain

▲ほかのソースはだいたい想像がつくけどブルーだけは・・

 

カクテルをたのめば、チカチカと色の変わるグラスに注がれて登場。このBarは仕事の話をしたり、女の子を口説いたりするに向かない。ひたすらペンを取り、色めき高揚しながら思い思いにラクガキに興じるのだ。酔えばますますペンも滑らかである。

f:id:naokin_tokyo:20140627223920j:plain

▲色の変わる光るカクテル

 

f:id:naokin_tokyo:20140627224209j:plain

▲カウンターにはラクガキが照射されたり

 

「ああ、こういうのがしたかった」

と何十年も昔に抑えこんでいた童心が、むくむくと起き上がってくるのであった。そんなラクガキで壁も柱も床もテーブルもメニューたてに至るまで、びっしりとラクガキでうめつくされていた。

 

f:id:naokin_tokyo:20140627220417j:plain

▲けっこうりっぱな柱だけどラクガキだらけ

 

f:id:naokin_tokyo:20140627213245j:plain

 ▲童心にもどれました

 

なんだみんなラクガキしたかったんじゃないか

期間限定のようなので「行ってみたい!」と思われたかた、お早めに。

 

 

4 件のコメント

  • このような場所があるのが羨ましいです。長崎市内にも進出して欲しいものです。お酒を頼まなくても、ひたすら描いているかもしれません。
    改めて『ラクガキ』は『落書き』であり『楽ガキ』なのだなぁと感じちゃったりもしました。
    僕も童心に、というか『ガキ』に戻って、いろんな場所にラクガキをしたです(笑)

  • 早速、素敵な拾い物ですね。
    ラクガキ、何を描いたらいいかわからないから、試しに牛や豚や魚を描いてみたら….これがひどいもので…..もう少し練習して上手くなったら行こうなんて思ってしまうわたし。
    なおきんさんの生ラクガキ、探しに行くのもいいかな?

  • イラストというか、絵というか、さらさら~と描ける人が超羨ましい!!
    説明の時、カードにメッセージを書くとき、ここで絵が描けたなら…。と思うこと数知れず。
    なおきんさん。羨ましいです。

  • mu_ne_2さん、一番ゲットおめでとさまです。いいですね「楽ガキ」っての。ペンを持って壁に好きなことを書いてるときの充実感。あれは人の本能なのかもしんないですね。
    ———————-
    もぐさん、
    試しに牛や豚や魚を描いてみたらってそれ、ぜんぶ食べ物じゃないですか!いつか美味しそうにかけるといいですね。生らくがき、毎日消されているのでたぶんもうないかも。てことは、毎日書けばいいのか!
    ———————-
    faithiaさん
    ああ、そういうことありますよね。よく寄せ書きなどがあると、やっぱり似顔絵とか描いちゃいます。でもあれは上手でなくてもいいと思いますよ。なんか描いてあるとそれだけでうれしいもんですから。

  • mogujade へ返信する コメントをキャンセル

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    ABOUTこの記事をかいた人

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。