旅とカメラ

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アルジェリアでカメラを持つと、目立ってしょうがない。一般の人はカメラを持ち歩かないし、ラマダン期間中で、旅行者らしき人は自分以外、ほとんどいなかったせいもある。知り合った人からは「カメラを盗られないよう気をつけて」と忠告され、警察官からは「カメラはバッグに入れてなさい」と注意をうけた。アルジェリアはイタリア並みに盗難やスリが多いとのことである。たしかにいたるところに警官が立っていたし、クルマの盗難防止アラームがあちこちでほとんど数分おきに鳴っていた。
 
この旅にぼくはカメラを3台持ち込んだ。
SONYデジタル一眼レフカメラとコンパクトデジタルカメラが一台ずつ、それとiPhone5s内蔵のものである。コンパクトデジタルカメラは充電器を持ってき忘れたせいで、半日で使えなくなった。その後は一眼レフとiPhoneのみ。結果、もっとも稼働率が高かったのはiPhoneであった。理由は前述のとおり、あまり堂々と持ち歩けなかったという事情がある。
 
太陽は真上にあるより斜めからさしている方が写真には都合がいい。人物や物を立体的に浮かび上がらせ、景色に奥行きをもたせる。撮影とはつまり、光との駆け引きである。それゆえ、日の出の時間と日の入の時間は撮影のためのゴールデンタイムとなる。朝は4時に起き、5時過ぎの日の出の時間から、太陽が沈み始める20時前から完沈する20時過ぎまで、ずっとカメラを構えて歩き回った。折しもラマダンタイム(日の出から日の入りまで飲食禁止)と重なったのは辛かった。炎天下のもと、文字通り飲まず食わずで街を歩き回るから、なんども熱中症になりかかった。めまいを感じれば、木陰のベンチで休み、少し眠りもした。いよいよヤバイとなれば、公衆トイレに隠れて水を飲んだ。
 
一眼レフカメラはあまりに目立ち、危険だったかもしれないが、同時によいコミュニケーションツールにもなる。「写真とってイイか?」と近づけば、もとよりオープンなアルジェリア人。いいよ!と快く応じてくれる。カタコトのフランス語(運が良ければ英語)で言葉のやりとりが始まる。「なに?ジャポネ!」「すげえ!トーキョー行ってみてえ!」みたいなかんじである。歩いていると後ろからトラックにクラクションを鳴らし、「俺を撮ってくれよ」と窓から顔を出すドライバーもいる。
 
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▲ これがその写真だ(コンスタンティンにて)

 
薄暗い路地で目付きの悪い兄ちゃんたちに声をかけられ「これはヤバイ」と思いつつも、逆に「写真撮らせてくれないか?」と笑顔で近づくことで、事なきを得た。それどころか肩を組んで一緒に写真に収まったりもした。でもまあ、同じことをアメリカでやったら命はなかったかもしれない。日本の外務省はアルジェリアを「渡航を自粛せよ」と警告するが、銃社会のアメリカのほうがこの点、アルジェリアよりはるかに危険だと思う。
 
 
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▲ だっちゅーの少年(アルジェ)

 
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▲ 悪ガキども(アルジェ)

 

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▲ 夜明け前のアルジェ

 

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▲ ようやく日の出が見えてきた海岸通り

 

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▲ そこで知り合ったあんチャンたち

 

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▲ 彼らも知り合いだったようで・・

 

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▲ 何だ何だおもしろそうじゃないかと人が集まってきて

 

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▲ いつのまにやら大所帯 夜もすっかり明けた

 
ぼくにとってカメラは、旅先で自分を鼓舞してくれる友人でもある。旅の途中にふと気持ちが萎え、自分はこんなところでいったい何をしているんだ?と自信喪失するときがある。外にでるのが億劫になり、なにもしたくなくなる。ひとり旅で「なにもしない」というのは致命傷である。自分から動かなければなにも始まらないからだ。そんなとき、カメラを手にとりファインダーを覗けば、魔法のようにそれがなくなる。まずは一歩、外に出ようと思う。素晴らしい景色や人々に出会うかもしれないし、運命の一枚が待っているかもしれない。ぼくが「ひとり旅」をする動機は、日常で失われつつある生きる力を取り戻すためのもので、カメラはそんな旅をモチベートしてくれる友人である。
 
 
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▲ 「ラマダンで気の毒だったな」とコーヒーを奢ってくれたブアッツァ氏

 
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▲ 酔っちゃいないがノリの良い4人組「ニーハオ!」と呼びかけられた(コンスタンティン

 

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▲ 酒は飲めないが、水とコーヒーで朝まで語る(いいのか?子ども)

 

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▲ 英語をしゃべる奴がひとりいたおかげで、だいぶ会話がもりあがった。日本人女性は世界で一番きれいだと言っていた。それをなぜ知ってる?

 

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▲ あれだけ陽気だったのに、カメラを向けられると緊張していたのがかわいい

 

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▲ からんで来た野郎たちだけど、いつのまにか打ち解けられた

 

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▲ アルジェの中でも特に治安の悪いカスバで知り合った連中。はじめ、ヘラヘラ笑いながら寄ってくるので反射的に「ヤバイ」と思ったけど、カメラ向ければ、ハイポーズ!

 

ある戦場カメラマンがナショジオのインタビューで「ファインダーを覗いているときは、戦場が怖くない」と答えていた。立場はぜんぜん違うが、このカメラマンの言うことはすごくよくわかる。
 
人は感動すると、より大きな感動に出会いたいという気持ちが強くなる。強まれば強まるほど、面白いものに対する嗅覚が鋭くなり、創造的になる。まさに、好奇心の大きさがそのままその人の生きる力になると言っても過言ではないのです。
 
建築家、安藤忠雄の言葉である。
ぼくの場合、これが20歳の時に経験した半年間の世界ひとり旅だった。あれから30年が経って、ぼくもいいおっさんである。そろそろ分別ある行動したいと思うけど、定期的なひとり旅は欠かせない。たとえ無理してでも、めんどくさくても「ひとり旅」の時間を必ず作ってきたのは、好奇心こそが生きる力になることを経験から知っているから。カメラはそのセルキーとなり、そんな好奇心に点火するのだ。
 
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▲ おとぼけコンビ

 

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▲ 実はタクシーの運転手たちだ。翌日、左から2番めの運転手に空港まで送ってもらった。料金は来たときの半額以下。本人曰く「友達プライスだ」と。

 

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▲ 橋の上で知り合って、ダンデムさせてもらったサミー

 
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オバマに似てるよね?と聞くと、ちょっと不機嫌になったサミーの連れ

 

 

というわけで、ただいま。
 
もうしばらくいいや!と今は思うけど
やっぱりまた行きたくなるんでしょうね。
 
 
 
 
  • 以上の写真はSONY α7で撮りました
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▲ ストラップぐるぐる巻で右手に固定。「盗むなら腕ごともってけ」の覚悟

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▲ レンズは50m単焦眼と10~18m広角レンズを。望遠レンズはかさばるので。

 

 

  •  追伸:前の記事「コンスタンティン」の写真を一部差し替えました。よろしければもう一度! 
 

14 件のコメント

  • なおきんさん、おかえりなさい!
    「ただいまと言うために旅に出る」と書かれていましたが、
    わたしもこう言える時を待っていました。
    お帰りなさい。よい旅でしたね。
    ラマダン中の観光なんて、そうそう体験できるものじゃないし、
    体験したいと思う人も少ないでしょうね。
    旅の楽しみの一つである、現地の食事。
    今回は色々なお料理を味わうことはなかったけれど、
    トイレに隠れて飲んだお水の味は、生き返るほど美味しかったことでしょう♪
    たくさんの青年たちと撮られた写真は、素晴らしいご褒美かもしれません。
    もう二度と会うことはない人たちの、写真の中の笑顔。
    画像を見れば、撮影されたその瞬間がよみがえって、思わず笑顔になれそうです。

  • なおきんさん、お帰りなさい!
    ドキドキしながら 読んでおりましたが  まずは ご無事 ? で何よりでした。

  • お帰りなさい。
    写真いいですねぇ、みんな表情が活き活きしてますね。
    トラックのおじさん大好きです。
    とても人間らしい表情ですよね。
    生命力のある若者の表情にも感動です。
    なおきんさん、感動をありがとう。
    最後に
    一日も早く世界が平和になりますように

  • なおきんさん お帰りなさい!
    どの日記でも写真が素敵です!
    しかも殆どiphoneで撮ったなんて・・・私のiphoneは
    こんなに味のある写真にならないです。
    光の感じがとても暖かみがあってそれでいて
    見ていると切なさを感じさせる不思議な色合いですね。
    海外なんて滅多に行けないですが
    行きたいと思わせる写真達です。
    ちなみに、甘えん坊のちびきちくんは
    お留守番大丈夫でしたか?

  • コンスタンティンのイラストのように今朝は目覚めたrisaです、あせりました、よぉく考えたら今日はお休みでした、ホッとしました。
    アルジェリアの人たちの写真を見ていて、地元の南国で過ごした学生時代を思い出しました、みんなでノリノリでしたよ~。
    今の私はおとぼけコンビの腹のでた丸いおっさんのおばちゃん版といったところです、とても親しみを感じますねー。
    ブアッツァ氏、優しい!
    カスバのあんちゃんたちカッコイイ。
    写真がとっても綺麗で今年も沢山の感動をいただきました。
    ありがとうございました!!

  • ユーリさん、一番ゲットおめでとさまです!だいぶたっちゃったけど、あらためて「ただいま」です。スナフキンも、年に一度戻れる村があるから旅に出れるのだとおっしゃってました。たしかに「現地ごはん」をひととおり試すことはなりませんでしたが、それ以上に印象深い食事ができたと思います。水のありがたみも、改めて感じました。写真の笑顔、ぼくはこんなふうに笑えるだろうか?とふと考えさせられるほどの笑みです。

  • ユーリさん、一番ゲットおめでとさまです!だいぶたっちゃったけど、あらためて「ただいま」です。スナフキンも、年に一度戻れる村があるから旅に出れるのだとおっしゃってました。たしかに「現地ごはん」をひととおり試すことはなりませんでしたが、それ以上に印象深い食事ができたと思います。水のありがたみも、改めて感じました。写真の笑顔、ぼくはこんなふうに笑えるだろうか?とふと考えさせられるほどの笑みです。

  • ユーリさん、一番ゲットおめでとさまです!だいぶたっちゃったけど、あらためて「ただいま」です。スナフキンも、年に一度戻れる村があるから旅に出れるのだとおっしゃってました。たしかに「現地ごはん」をひととおり試すことはなりませんでしたが、それ以上に印象深い食事ができたと思います。水のありがたみも、改めて感じました。写真の笑顔、ぼくはこんなふうに笑えるだろうか?とふと考えさせられるほどの笑みです。

  • ユーリさん、一番ゲットおめでとさまです!だいぶたっちゃったけど、あらためて「ただいま」です。スナフキンも、年に一度戻れる村があるから旅に出れるのだとおっしゃってました。たしかに「現地ごはん」をひととおり試すことはなりませんでしたが、それ以上に印象深い食事ができたと思います。水のありがたみも、改めて感じました。写真の笑顔、ぼくはこんなふうに笑えるだろうか?とふと考えさせられるほどの笑みです。

  • meikoさん、おかげさまで道中無事、かつ無事に帰国できました。直前にマレーシア機が、直後に台湾機とアルジェリア機が相次いで撃墜されたり、誤って堕ちたりとぞっとする事件が立て続けに起こりました。気を付けてもしきれないけど、亡くなられた人たちが気の毒でなりません。ともかく「ただいま」が言えてよかったです。

  • Sakuragiさん、
    ねえ、トラックのおじさんの表情がまたいいですよね。別バージョンもあるのですが、どれも積極的に写してくれといった割にはちょっとはにかんだ表情になってます。きっといい人なんだと思います。フランス語がもう少し話せたら、と思いました。この旅は景色だけでなく人の表情もしっかり残したいと思いましたからよかったです。

  • とんきちさん、
    今回の記事の写真はたまたま一眼レフが多かったですが、全体的にはiPhoneで撮影した写真のほうが多かったです。意外と広角から望遠まで、これひとつでOKなので重宝しました。一眼レフは目立つ分、狙われやすかったから。質はレタッチソフトがあればある程度素敵な写真が楽しめます!

  • Risaさん、
    きょうがおやすみでよかったですね。とくにうたた寝は寝ようという意識がなかった分、目が覚めたときの焦り方が尋常でなかったです。気を付けましょうね。カスバの兄ちゃんズ、なかなかスキニーでスタイルもセンスもよくカッコいいですね。でも狭い路地からぬっと出てきて四方を囲われるとさすがにビビりました。逃げようにも入り組んだ路地は地図を見てもよくわからないほど。まあそれがカスバの意義でもあるわけなんですけど。

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    なおきん

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。