▲ これはビスケット?それともクッキー?
ビスケットとクッキー、どっちが好き?
足早に歩いていると、前を歩く女の子たちからそんな会話が聞こえてきた。首にはマフラー。訊かれたほうの子は「クッキーかな」などと答えている。街路樹の葉は色づき、風は冷たい。足早に女の子たちを追い抜きながら「そろそろコートの季節だな」とひとりごちる。ここがロンドンならアフタヌーンティーのビスケットで暖をとるところだが、東京ではオヤジひとりじゃやりづらい。
女の子たちにはせっかくだけど、ビスケットとクッキーは基本的に同じものである。あえて違いを言えば語源だろうか。ビスケットはフランス語のビスキュイからきている。意味するところは、パンの二度焼き。乾燥するまで焼き上げたパンのこと。いっぽうクッキーはオランダ語でお菓子を意味する「クック」がなまったものである。
同じものと知りながら、個人的には歯ごたえで区別している。ビスケットは「カリッ」で、クッキーは「サクッ」というふうに。念のためネットで調べてみると、バターなどの油分が多めなのがクッキーとある。さらに油分が多い菓子をサブレと呼び、逆に油分が少ないものをクラッカーと呼ぶ。さしずめ油分の少ないものから並べれば、クラッカー、ビスケット、クッキー、サブレという順となるわけか。音の順ならさしずめ、パリッ、カリッ、サクッ、ザクッ、だろうか。
とはいえ、イギリスではこれらを総称してビスケットと呼ぶし、アメリカでは総じてクッキーと呼ぶ。日本へ最初に伝えられたのは信長・秀吉など戦国時代の16世紀。こんぺいとうやかすてら、てんぷらと共に「びすきゅいと」という名であった。ヘンな名だけどつづりをローマ字読みすれば、確かにそうなる。バタ臭かったからか当時の日本人は興味を示さなかった。長崎や平戸で細々と作られたあとは、ルソン(フィリピン)に輸出するくらいだったといわれる。
▲ クッキーにはなにかしら手作りが似あう
ぼくは甘党ではないが、菓子の由来には興味がある。たとえばシュークリームを英語に訳せば「靴磨きクリーム」。もはや食べ物ですらない。だから由来は英語ではなく、フランス語の「シュー・ア・ラ・クレーム」である。直訳すればクリーム入りキャベツ。皮がキャベツに似てるからか、なかなかフランス人の感性は常人を超えている。ちなみにエクレアの語源は「稲妻」である。「崩れるから電光石火で食べろ」というわけだ。なるほどこれも感性。
いまごろヨーロッパ大陸では焼き栗の屋台が出るころではないか。寒風のなか、ホクホクで香ばしい焼き栗に合うのはホットチョコレート。クリスマスのイルミネーションとあいまって気分がほっこりする。
キューっと冷えるときにどうぞ。
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