マンモスが夢に出た。
川に落ちたボールを棒でたぐりよせようと、岩場に足を置き身をのりだそうとしたした瞬間、ぐらりと岩場が動き、マンモスがあらわれた。
どうやらぼくが踏んでいたのは岩ではなくマンモスの頭だったらしい。立ち上がったマンモスはびっくりするほど小さかった。博物館で見たのとずいぶん違う。そしてミャーミャーとネコのように鳴いた。どうやらぼくに頭をふまれたことに腹をたてているようであった。
小さくて弱そうなマンモスだが、牙はさすがにりっぱである。かたほうの牙にはさかなが突き刺ささっていて、ぱちゃぱちゃと身をくねらせている。マンモスが立ち上がった瞬間、うっかり牙にひっかけてしまったのだろう。さかなの目にはあきらかに抗議のいろがあり、こちらも腹をたてているようすだ。つくづく運の悪いさかなである。
ボールはとうに流されてしまった。
ふりむくとさっきまでいっしょに遊んでいた野球仲間は誰もいない。ネコのようになくマンモスと、牙に刺さったさかなと、ぼく。それらが、たまたま故障したエレベータに乗り合わせたふうに、川べりにぼんやりとたたずんでいる。なかなかシュールである。影の長さでもうすぐ日が暮れるのがわかった。なんだか途方にもくれていた。
夢はそこで唐突に終わった。
目が覚めたからなのだが、マンモスなんて初めて夢に出たから、朝から不思議な気分である。何かの前ぶれだろうか?とも思う。だけど、牙にさかながささっている小さなマンモスなんて、なんのご利益もなさそうである。鳴き声なんて、ネコなのだ。
まだマンモスの頭の感触を足の裏にかんじながらシャワーを浴びているとき、ふいに「コトバ」が浮かんだ。
頭の良い人にムダな敵はいない
なんだそれ? シャンプーでごしごし頭を洗いながら、反芻してみる。まるで神の啓示のような「コトバ」である。マンモスとなにか関係があるのだろうか?
よくわからない。でも、
頭の悪い人ってムダに敵が多い気がする。
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