ひとのかお

落ちこむと、他人の顔を見る習性がぼくにはある。
この歳になると、あまり落ちこむこともなくなるのだけど
それでもごくたまに、落ちこむことがなくもない。

落ちこんだとき
たいてい、空を見上げたり、星の瞬きを眺める。
宇宙のように、とてつもなく大きなものをみれば、
落ち込ませる悩みなんてちっぽけなこと。
そう思う人は、わりと多いんじゃないかと思う。

でも空は悩まないし、雲は落ちこまない。
そんなものみても、自分との距離を感じるだけ。
なんてことを、ぼくは思う。

人は、人だからこそ悩むし、落ちこむ。
だからぼくは、人の顔をみる。見てまわるのだ。

他人の顔を次々に見ていると、
みんな何かしら悩んでは立ち直り、
悩んでは立ち直りを繰り返しているのが見て取れる。
あの人はお客に叱られたかもしれない。
あの人は家庭がうまくいっていないかもしれない。
彼女に振られ、彼氏にふられたかもしれない。
失業しちゃったかもしれない。

がんばってね、とすら思う。
落ち込んでいるのは自分のほうなのに。
しかも勝手に想像しているだけなのに。

よくみると人の顔は本当におもしろい。
見ていて飽きない。この人にも親がいて、
100年前は形すらなかったのだ。
そんなことを思いながら、
人の顔を見る。

この人はきょう、何を食べたんだろう?と。

落ちこむと
空を見る人もいるし、なにも見ない人もいる。
酒を呑む人もいるし、誰かに話す人もいる。
ぼくのように、他人の顔を見る人もいる。

落ちこむというのは、
結局のところ、それだけのことだ。

落ちこんだら、また人の顔を見に行けばいいし
飽きたら、こんどは鏡で自分の顔を見ればいいと思う。

残念な顔かもしれないけれど、
2つとない顔である。たぶん。

6 件のコメント

  • んふふw
    残念な顔かもしれない。って
    まさかなおきんさんの事かしら?
    だったら絶対に残念じゃないから安心して下さい(笑)
    例え1卵生双生児だとしても、成長の過程が違えば
    表情は全く別人の様に感じる。
    目は心。言いえて妙だ。
    コレを読んで気がついた事がある。
    つまり、落ち込んだ時は
    落ち込んだ事を考えず、他の事に集中してみよう。
    って事??wwちょっと歪んだ解釈?
    丁度落ち込んでいたので、何だか凹んでいる自分が
    ちょっと笑えて来ました。
    いつもステキな言葉をありがとうござぃますm(_ _)m

  • んふふw
    一枚目のイラストからは
    見惚れていたいがための言い訳のような?
    邪推でした(^m^)

  • 私はカフェなんかで仕事するのが大好きです。あの「ざわつき」が脳を適度に刺激するみたいです。また、naokinさんの様ににふっとした拍子に誰かを短時間で観察する時もあり、そんな時にはやはり「顔」を見ています。本当に他人様の顔って飽きないですよね。新刊本の帯のキャッチ文を読むような面白さがあります。

  • 人の顔をぼけーっと見ているのは好きですね。ところが、人の目が怖くて1対1が苦手・・お客様と話す時は我慢してますが。
    なんなんでしょうか?自分が見透かされるような気がするのか、原罪を暴かれる気がするのか・・
    私にも原因はよくわかりません。

    なおきんさんは、話している相手の目って平気ですか?(普通は平気なんでしょうね)

  • 私は有名人ではなく、『いとこに似てる』と言われます…。

    かな〜り、ありふれた顔な模様ですわ…

    ( ̄∀ ̄)

  • トロさん、一番ゲットおめでとさまです!
    それがまた、ずいぶん残念な顔なんです、これが。「落ち込んだときは人の顔を見る」というのは他に注意を向けるという意味よりも、「だれだってみんなそうなんだからぼくも現実をしっかり受け入れよう」という意味があります。生きている実感は、楽しいことばかりじゃなくてつらい現実からもある、ということでしょうか。
    ——————————-
    jamさん、
    周囲のいろんな人の顔を見ているうちに、はっとさせられることがありますね。そのうち一目惚れしちゃうこともあるのかもしれないけど。でもまあいいおっさんですから、たぶんないでしょうね。
    ——————————-
    昔の同僚さん、
    そうそう、むしろ周囲のざわざわしたノイズが集中力を高めてくれることがありますね。ベッドより移動中に眠りに落ちやすいように。それにしても他人の顔に新刊本の帯のキャッチ文を見る同僚さんは、さすが!
    ——————————-
    おととさん、
    つい、見てしまいますよね。人の顔。さて、会話中、相手の目をしっかり見るかどうかは、相手をどこまで受け入れるか、あるいは相手に自分をどこまで受け入れてもらうか、そのあたりの意志のありようだと思います。それから相手の目を見過ぎるのも失礼に当たることがあるので「時と場合により」ですかね。
    ——————————-
    こいもさん、
    あははは。>「いとこに似てる」 なんだかほのぼのしてますね。「いとこ」という響きに味わいがあります。それがいいことなのか悪いことなのか、そんな下世話なレベルじゃない崇高な意味すら読み取ってしまいそうです。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。